「アップルOB」がやたら集まる新興企業の正体 社員の6割以上がアップル出身

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アップルでは、大きなプロジェクトが小さなタスクに分割されて小規模なチームに課され、全11万人のスタッフそれぞれにサブタスクが与えられる。各人は、自分に与えられたサブタスクをやり遂げなくてはならない。アップルが「直接責任」と呼ぶ考え方だ。

パールもこの仕組みを採用している。「規模の小さい会社では、非常に有効だ」と、ガードナーは語る。技術開発面における規律正しいアプローチも、アップルのやり方を採用した。あらゆるタスクには期限が設定され、不具合は徹底的に調べあげる。「なぜうまくいかなかったのか、問題を包括的に理解する必要がある」。

パールは、アップルが得意とするエレガントなデザインも重視している。「アップル製品のように、ぴったり感があって、優れた仕上がりの製品をつくっている」と、サンダーは語る。

競合製品と違って、リアビジョンには高画質カメラが2つ付いているほか、1つには暗視機能もあるため、ドライバーは車の後ろの状況をよりはっきり把握することができる。リアビジョンは、ライセンスプレート用にはめるフレームの形状をしており、2つのカメラはこのフレームに搭載されている。動力源は太陽光だ。カメラが撮影した画像は、無線でアダプターに送られ、ドライバーのスマホに表示される。アプリを通じて、パールはソフトウエアを定期的にアップデートし、新しい機能を追加することもできる。

アップル時代のサプライヤーを活用

クリッシー・メイヤー部長(ハードウエア製品開発担当)によると、パールはリアビジョンの開発にあたり、質感の異なる黒色、アルミニウムフレークの有無など(「太陽光の下では全然違って見える」と彼女は言う)、19種類のフレームを検討したという。

パールが手掛ける製品の部品(写真:Anthony Cruz/The New York Times)

また400種類のコンポーネントは、アップル同様、数十のサプライヤー(主にアジア企業)から調達している。「この種のことは、iPhoneとiPadで経験済みだ」と、パールの共同創業者でエンジニアリング担当バイスプレジデントのジョゼフ・フィッシャーは語る。実際、パールのサプライヤーの多くは、スタッフがアップル時代に取引経験がある会社だ。

だが、パールでは、会社全体のことは経営幹部だけが知っていればいいというアップルの考えを否定している。

故スティーブ・ジョブズは、製品のごく細かな部分までコントロールした。ジョブズが2011年にCEOを退任した後も、その権限は経営幹部の間で分散されただけだった。

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