セブンの沖縄進出が意味する飽和への危機感 求められるコンビニの次のイノベーション

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セブンの沖縄展開の課題はいくつかある。まず、「セブンプレミアム」をはじめとして定評のある商品の品質の高さを沖縄でもちゃんと担保できる生産・物流体制の構築が必要だ。独特の文化を形成する沖縄ならではの地域対応も必要になるだろう。たとえば、沖縄のコンビニには泡盛を使用したオリジナルな酒類など地域限定のプライベートブランド(PB)商品があったり、おでんに豚足が入っていたりする。こうした需要を取り込む現地化が求められる。

とはいえ、コンビニの地域対応は沖縄だけに求められている問題でもない。たとえば、冬のおでんは主要3社とも、地域ごとにつゆを7~9種類に分けている。全国統一の味を提供したほうが、生産は効率的だし、コストも安価になるが、結局、訴求できなければ意味がない。逆にいえば、セブンに限らず、それだけコンビニエンスストアがあらゆるところにあり、差別化せねばならない状況にある。

コンビニの深い苦悩

どのコンビニチェーンを見ても、共通するのは、人口構成比変動による消費者の高齢化、そして労働者不足だ。そうなると、各社とも、効率を上げつつ、一つひとつの店舗の収益性と利益を上げる工夫をするしかない。

セブン全体の話に広げれば、現在、鳴り物入りで登場した「オムニセブン」もアマゾンなどの強者の前に、さほど華々しい成果を上げられていない。「オムニセブン」は今では、既存顧客の管理にしか位置づけられておらず、アマゾンのように書籍から電化製品、食料品からオムツまでといったイメージは広がっていない。現在はスマートフォンのアプリ展開などで巻き返しを図るが、これからの推移を見守るしかない。

代わりに、セブン-イレブンは、リアル店舗を変えてきた。前述のとおり、これまではおでんのつゆなど、商品を変えたり、陳列の量を変えたりするものだった。しかし、セブン-イレブンは、もはやセブン-イレブンの基本コンセプトもやや崩した形でいくつかの店舗で実験的に取り組んでいる。

商品として、弁当をコンビニで買うのは当たり前になったし、おにぎり、コーヒー、ドーナツもこれまでの商権を破壊してきた。サービスという意味でも、ATMが全国に広がり、ECサイトの商品受け取りから、高齢者宅への配送サービスが広がった。バックヤードのインフラとしては、細かな納品システムが整備され、POSシステムが整備され、そしてメーカーとコンビニ各社がプライベートブランド商品を作って売る商文化が生まれた。

そして、その次は何だろうか。むしろアマゾンから、省人化のレジレス店舗構想が聞こえてきた。これまでコンビニが次のステージに上がるときには、それぞれ象徴的な何かがあった。セブンが最後の空白地帯への進出を決めた今、コンビニ各社のイノベーションが一層求められる局面に入ってきている。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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