「調達(担当者)さんとは、先方の生産計画に沿って、納期や価格などの交渉を続けていきます。ですので長い付き合いになることが多いです。一方、設計(担当者)さんからは、新製品をつくるため、これまでになかった新たな部品の開発を依頼されることがあります。そうしたときはどうしても技術担当者に同行してもらうことが多いです。技術に関する知識は、なるべく身につけようと心掛けていますが、話が専門分野におよぶと、とてもついていけませんので」と津野田さん。
いずれにせよ「お客様が何を求めているのかを正確に理解し、社内と調整することで強い信頼関係を築く」ことが大切なのだという。新製品の開発にかかわる案件では、秘密保持契約を結んでから開発を始めるケースも珍しくないというから、顧客との信頼関係が大前提なのだ。
出社するのは週の半分でいいことも
「お客様の『こんな製品が欲しい』という要求には、できるだけ応えたいものですが、自社の『こんな製品では利益が出ない』とか『納期までの時間が短すぎる』といった意見との板挟みになることも多いです。結局、ある程度の時間をかけて自分という人間を信頼してもらうことが大切です」(津野田さん)。
そんな津野田さんの基本的な勤務スタイルは”直行直帰”が多いという。取引先の工場が東京の本社から離れた場所に数多くあるため、午前はA社、午後はB社、という具合いに取引先から取引先へと移動する。スマートフォン(スマホ)とノートパソコンは必須アイテムで、問い合わせや報告のメールは移動中の電車内などで即対応する。問い合わせなどの対応は、少しでも遅れれば、先方に迷惑をかけてしまいかねないからだ。こうした対応力が顧客の信頼を勝ち得るチャンスにもなる。
「以前は地域ごとに事業部が編成されていましたので、毎日、営業所に出社して、地域の取引先を回って、帰ってくればレポートを書いて提出するという生活でした。今は製品ごとに事業部が再編され、取引先は遠い場所が多くなりましたが、時間の融通は効くようになり、会社に出社する機会も減りました。社内会議も電話で行いますので、自社に出勤するのは週の半分くらい。週に1度しか会社にいかないこともあります。逆に、就業後、同僚と飲みに行く機会はめっきり減りました」と津野田さん。しかし、今のスタイルは、自己管理さえしっかりしていれば時間を有効に使うことができ、とても働きやすい環境だと語る。
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