そこで今回は、ボールベアリングをはじめとする機械加工部品や精密小型モーター、計測センサー、電子機器などを製造する、ミネベア(1月27日に電子部品メーカー総合大手のミツミ電機と経営統合、「ミネベアミツミ」に社名変更)を例に挙げて、「BtoBメーカーの営業」とはどんな仕事なのか、同社の営業マンに話を聞いた。
「ミネベアの社名は、就活を始めるまでまったく知りませんでしたし、今年で入社5年目になりますが、友人や知人に社名を名乗っても、『知っている』と答えた人は一人もいませんね」というのは、2012年4月に新卒で入社した津野田貴大さん。津野田さんがミネベアに興味を持ったきっかけは、企業研究をしたとき、海外勤務をしている社員の割合が商社などと並び高かったからだ。
「学生時代、海外旅行をするのが趣味で、ヨーロッパやアジア20カ国ほどを訪ねましたが、私が日本人だと知ると、多くの人が日本の企業名を挙げて日本との関わりを説明してくれたんです。そんな風に技術大国ニッポンの存在感を目の当たりにして、いつか海外で働いてみたいという希望を持っていた私にとって、ミネベアはとても魅力的に見えました」
取引のある客とのやりとりが軸
ミネベアの主力製品の一つに、極小ボールベアリングがある。ベアリングは、「軸受け」とも呼ばれ、機械の回転部分に使われる部品のこと。ミネベアは小さなベアリングの製造に強く、外径22ミリメートル以下の市場で世界シェア約6割を誇る。医療や家電、自動車、航空宇宙など、さまざまな分野でその製品が使われている。
世界中で製品が使われているため、海外拠点も多く、津野田さんのように海外志向のある人にとっては、魅力的に映るかもしれない。BtoBメーカーは製造拠点や営業拠点などを海外に置いているケースが多い。
津野田さんが所属しているのは、カメラ部品のセールスを担当する営業部で、複数のカメラメーカーを相手に、レンズのズームやフォーカスを合わせる精密小型モーターやボールベアリングを販売する仕事だ。「入社以来、カメラメーカーの営業を担当することが多かった関係で、旅行に加えて写真撮影が趣味の一つに加わりました。ただ、どこのメーカーのカメラを使っているかという質問には答えづらいので、商談ではなるべくそういう会話にならないように気をつけています(笑)」と津野田さん。
一般的に営業職というと、会社や上司からキツい営業ノルマを背負わされて受注先を探す仕事、というイメージがある。が、BtoBメーカーであるミネベアの場合、事業部としての数字目標はあるものの、すでに取引関係が確立している顧客とのつきあいがメインだ。価格交渉をしたり、自社の生産部門や技術部と調整し、可能な納期を伝えたりする。
津野田さんの場合、既存顧客の仕事と、新規に開拓する顧客に割く仕事の時間の割合は、7:3くらいだという。前者の場合、資材の調達・購買の担当者と、製品の開発に携わる設計担当者の2者が商談相手となる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら