JR北海道は「札幌圏」の黒字転換をできるのか

経営改善へ、副社長に聞く課題と方策

しかし、増発には課題があるという。現状では、函館本線札幌駅-千歳線南千歳駅間は最ピーク時に1時間当たり13本(特急3本、快速4本、普通4本、貨物2本)が設定されている。増発を実現する上で、札幌貨物ターミナル駅と新札幌駅の間にある平面クロスによる支障が壁となっている。現在は、上り貨物列車を札幌貨物ターミナル駅から出発させると、平面クロスにより5分間下り列車を設定できない状況にある。

この支障をクリアするためには、立体交差化が必要である。西野氏は「当社単独で負担する場合、全く採算は取れないが、国も一緒に考えると言ってくれている」と説明する。観光立国政策を推進する上で、札幌と新千歳空港を結ぶ鉄道は重要なインフラであること、そして、鉄道活性化には鉄道事業者だけでなく、国や地元自治体、消費者など、鉄道を取り巻くステークホルダーの英知を結集することが重要であることを踏まえると、国が積極的に関与することには妥当性がある。

ロングシート車投入で混雑を緩和

一方、快速「エアポート」の増発が実現するまでの間に、混雑緩和と増収を図る方策を別途検討する必要がある。混雑緩和を図る方策としては、同社によるロングシート車両の導入推進を挙げることができる。西野氏は、「1人で2席分を占領することに対する苦情が多かったクロスシート車両の代わりに、ロングシート車両導入を進めたことで、苦情が減った」と明かす。

筆者はある平日に、函館本線札幌駅8時05分発快速「エアポート80号」新千歳空港行き(列車番号:3864M)に乗車したが、指定席が満席だったため、出発前から列に並んで、1号車普通車自由席で何とか着席できた状況であった。新札幌駅では大量の乗車があり、混雑が増した。北海道文教大学最寄り駅の恵庭駅で大学生と見られる旅客が大量に下車し、さらには千歳駅でも一定の下車があった。西野氏の説明通り、快速「エアポート」においてロングシート車両は、座席の適正利用と混雑緩和に貢献しているようだ。

また、遅延を減らすことも混雑抑制に貢献する。特急「スーパーカムイ」の新千歳空港駅乗り入れを取り止めたのは、冬季の岩見沢付近での豪雪による遅延を千歳線内に波及させないための措置だと言う。定時性確保は航空機の出発時刻までに旅客を新千歳空港駅まで送り届けることはもちろんのこと、遅延による混雑を予防する効果も見込むことができる。

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