JR北海道は「札幌圏」の黒字転換をできるのか 経営改善へ、副社長に聞く課題と方策

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利用状況を視察するため、函館本線手稲駅7時51分発「ホームライナー」札幌行き(列車番号:5D、札幌駅から「北斗6号」函館行き(列車番号:6D)および札幌駅20時22分発「ホームライナー」手稲行き(列車番号:2040M。旭川駅→札幌駅間特急「スーパーカムイ40号」)にそれぞれ乗車した。

日によって変動があると思われるが、筆者が乗車した時は、5Dは特急用ディーゼルカー・キハ183系による運行で8割程度の乗車率であったのに対して、2040Mは特急用電車・785系で乗車率は3割程度に留まっていた。朝ラッシュ時の手稲駅からの着席は難しいことを踏まえると、朝下り便の着席需要は相当程度あると考えられる(ただし、JR北海道の「ホームライナー」は全車自由席)。

乗車時間が短く、乗車整理料金の見直しが難しいのであれば、思い切って、手稲駅-札幌駅間のワンマン化を考えてもよいかもしれない。札幌駅と札幌運転所の間の回送列車を営業化することで、旅客列車本数が増加し、サービス向上を図ることができる。ワンマン列車なら、車掌の人件費は不要となる。

特急定期券の販売拡大へ停車駅増加を

JR北海道は「ホームライナー」の本数削減を進める一方で、特急自由席定期券「かよエール」の販売に力を入れている。2016年上半期の全発売区間の発売枚数は8,200枚である。

実際の状況を視察するべく、札幌駅-岩見沢駅間で特急に乗車した。選んだ列車は、函館本線札幌19時00分発特急「スーパーカムイ35号」旭川行き(列車番号:2035M)5号車普通車自由席と、同線岩見沢19時30分発特急「スーパーカムイ40号」札幌行き(列車番号:2040M)2号車普通車自由席である。

「スーパーカムイ35号」は特急用電車・789系1000番台による運行で自由席乗車率は約7割、「スーパーカムイ40号」は785系による運行で自由席乗車率は約2割であったが、両列車とも車内改札で「かよエール」の提示が見られた。「かよエール」の発売枚数をさらに増やすために、途中停車駅増加による需要拡大を模索したいところである。江別市から要望がでている、野幌駅への特急停車が実現すれば、「かよエール」発売枚数増加も期待できるだろう。

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