「変わらないトランプ」は意外にわかりやすい

目的の達成がすべて、手段にはこだわらない

1月20日のトランプ政権発足により、ようやく「良いトランプ」が出番を迎える。圧倒的な注目度から忘れられがちだが、政権発足前のトランプ氏は私人に過ぎない。政策を実行する手段は持っておらず、政策の立案を助けるスタッフも揃っていない。つぶやき介入は、トランプ氏に許された数少ない選択肢のひとつだった。

トランプ政権の発足を受けて、議会を通じた「良いトランプ」の立法作業が本格化する。減税やインフラ投資といった財政政策の実現は、議会による立法が必要となる。通商政策と違い、大統領だけでは動かしようがない。

トランプ氏にとっての追い風は、議会の上下両院で共和党が多数党の座にあることだ。近年の米国では、党派対立が先鋭化している。ジョージ・W・ブッシュ政権による大型減税や、バラク・オバマ政権による医療保険制度改革(オバマケア)のように、2000年代の米国では、大きな政策が実現できる機会は、大統領と議会多数党が同じ政党である場合に、ほぼ限られている。

議会共和党がどこまで財政赤字を容認するか

当面の注目は、財政政策の規模である。トランプ氏の選挙公約は、財政赤字を拡大させる内容だと理解されてきた。拡張的な財政政策による景気刺激効果への期待が、ひいては「良いトランプ」への期待となってきた。

しかし、この点については、トランプ氏と議会共和党が一枚岩であるわけではない。どこまでの財政赤字拡大が容認されるかは、現時点では不透明である。議会共和党は、これまで財政赤字の削減を主張してきた。法人税に関しても、税率を引き下げたうえで、優遇税制の見直しなどによる税収増で赤字の増加を抑えるというのが、議会共和党の方針だった。インフラ投資についても、議会共和党には赤字拡大に対する警戒感がくすぶっている。

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