ユニクロ、“悲願達成”目前の悩み 好評「4日連続セール」に、思わぬ反動

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結果、12年9月から13年5月までの9カ月間累計で、客数は前年同期比9.1%増(国内ユニクロ)と大幅に伸び、既存店売上高も同5.2%増に反発した。しかし、その一方で、セールの反動が出た。大規模な値引き販売で商品販売の儲けが減り、集客のために投入したTVCM、チラシなどの広告宣伝や、什器の入れ替えなど費用がかさみ、利益を圧迫した。利益柱である国内ユニクロ事業だけを取り出すと、同4.7%減益となっている。

国内ユニクロの採算悪化を受けて、ユニクロは春夏商戦の途中から低価格路線を一部軌道修正している。4日連続セールこそ継続しているが、セール対象商品の品目数を一部絞るなどして、行き過ぎた値引き販売の抑制に動いている。

「お客様が賢くなられた」

だが、「お客様が賢くなられた。安いものに対する感応度が高い」(岡崎健CFO)と、セール対象商品の「エアリズム」や「レギンスパンツ」などに販売が集中してしまい、客単価の減少傾向は止まっていない。その結果、値引きのコントロールを計画通り進めることが出来ず、粗利率が会社の想定以上に悪化している。

グループ全体でみると、今年度(2013年8月期)は中国をはじめとした海外やジーユーの成長が牽引し、増収増益を達成する見通しだ。ただ、14年春には消費増税が予定されているうえ、柳井会長兼社長は実質値引きとなる価格の据え置きを表明しているため、来年度の国内ユニクロ事業は、今よりも儲けにくくなる可能性がある。依然として、抜群の高収益企業であることには違いないが、“悲願達成”の目前で、悩ましい事態にも陥っている。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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