北朝鮮亡命外交官が語った「金王朝の弱点」

「民衆蜂起が発生する可能性もある」

――北朝鮮の「労働新聞」が最近、国連の潘基文(パン・ギムン)前事務総長に対し批判的な論評を発表したが。

当初、北朝鮮では韓国人が国連事務総長になったという事実を隠した。そして、潘氏が大統領選挙に出馬するという報道が出始めてから、攻撃のための砲門を開いた。

北朝鮮は次期大統領選挙の結果、韓国で進歩(革新、現在の野党)側の陣営が政権を取り、政権交代がなされれば南北関係が改善されるものと期待している。一方で、保守陣営が潘氏を受け入れ、選挙に向けて結束するという報道が出るようになれば、北朝鮮には心配の種になるだろう。革新側に不都合な要因になるのでは、と思うためだ。

前国連事務総長には好感を持つ

――外交官として潘氏をどう評価するか。

北朝鮮の外交官の内心では、彼に対して相当尊敬している。同じ韓国人であり、事務総長職を務めた。同じ民族として誇るべきことだ。そして、国連事務総長時代に金正日・金正恩政権を強く糾弾せず、南北を和解させるための努力を行った。そのため、潘氏に対する北朝鮮外交官の評価はよいほうだ。

――それならば、北朝鮮では野党側の有力候補者である文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表に期待しているのか。

私が文前代表に対して、期待している、していないと断定するのは難しい。ただ、北朝鮮が怒っているのは、李明博(イ・ミョンバク)前大統領が金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の対北政策を「失われた10年」と述べたことだ。北朝鮮から見れば逆に、保守政権だった時代が「失われた10年」だ。北朝鮮は革新政権が始まり、2000年の「南北共同宣言」の精神に戻ることを望んでいる。

――外交官も在外公館から脱北するケースは多いのか。

(しばし沈黙した後)脱北した外交官は、思ったより多い。私が公開活動を行うと、脱北したのは私だけかと思う。ところが、私と旧知である人が脱北したケースは、メディアで報道されているよりもはるかに多い。しかし、彼らが今後、私のように公開活動を行うかどうかは個人的な問題だ。彼らを代表して私が言うのは不適切だ。彼らに対する身辺安全の問題もある。正直に言えば、北朝鮮外交官はすぐにでも脱北することができる。とはいえ、北朝鮮に残してきた子どもが影響を受けるため、脱北を決心できずにいる。

――好きな韓国映画やドラマは何か。

子どもたちと妻が見る番組と、私が見る番組は違う。私は「不滅の李舜臣」「チャングムの誓い」などをよく見た。子どもたちは「冬のソナタ」「秋の童話」「フルハウス」などを見ている。2007年には「白い巨塔」に人気があった。

――北朝鮮住民から、自分はどんな人間として記憶されたいか。

私が韓国に来たのは、私自身や家族の個人的な栄達のためではない。北朝鮮住民を一日でも早く奴隷から解放させ、統一のためにこの身を捧げるためだ。北朝鮮住民からも、そんな人間として記憶されたい。

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