韓国との「領海係争」は漁業協定だけではない 日本人は、問題の全体像を知っておくべきだ
日本政府は韓国のことを「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」と位置づけている。しかし両国の間には、慰安婦問題、歴史認識問題、竹島問題など数々の根深く難しい問題が横たわっているのは周知のとおりだ。双方の排他的経済水域(EEZ)内での2016年漁期の漁獲割当を決める日韓漁業交渉についても、決裂したまま越年しそうな様子である。
「実はもうひとつ、日韓両国には深刻な問題がある。1974年に締結し1978年に発効した日韓大陸棚協定に絡んだ『共同鉱区』の問題だ。これがある限り、日本の主権に穴が空いたようなものだ」
こう指摘するのは民進党の緒方林太郎衆院議員。同氏は外務官僚時代に条約課で日韓漁業協定改定などを手掛けたことがある。いったいどういうことなのか。
日韓大陸棚協定とは?
日韓大陸棚協定とは、「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定」(略称:北部協定)と「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定」(略称:南部協定)の2つの協定を総称したものだ。
2つの協定の内容は同じではなく、北部協定のタイトルに入っている「境界画定」が南部協定になく、その代わりに「共同開発」の文言が入っているのには理由がある。
北部協定は北緯33度から36度にかけて日韓の海域を「中間線」を境界として画定しているが、それ以南においては境界線が未確定のままだ。そして中間線の日本側に、日韓の共同開発区域が大きくせり出している。
しかも2012年12月、国連大陸棚限界委員会(CLCS)に自国の大陸棚の外縁を沖縄トラフまで延長することを申請している。
なぜ韓国はこのような主張を行うのか。それ以前に、なぜ共同開発区域が設定されたのだろうか。まずは、その事情を振り返っておこう。
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