初公開、ジャパネット髙田明の「伝え方」7極意 引退までの1年間、社員に教え続けたこと
同じ商品でも、何を伝えるかは相手によって変わるんです。それが理解できていないと、的外れな紹介になってしまいます。だからこそ「誰に伝えるのか」を強く意識することが大切なのです。
極意その6:わかりやすく伝える
私はラジオ・テレビショッピングでは難しい専門用語は使わないで、できるだけやさしい言葉で話すようにしていました。
例えば「カメラのピントを合わせて」と普通に言ってしまいますよね。でも、私は言わないんです。代わりに「距離を合わせる」と言います。ズームという単語も使わずに「遠くのものを近づかなくても大きく撮影できる」と説明していました。コンパクトカメラとも言いませんでした。「名刺くらいのサイズのカメラ」と言いました。そのほうが、大きさがイメージしやすいでしょう。
専門用語は便利ですよね。複雑なことでも一言で言い表すことができます。つい、使いたくなります。でも、その言葉を知らない人にはなんのことだかわかりません。だれにもわかる言葉で伝えることが大切です。
ジャパネットが扱っている商品のほとんどは、全国どこでも買える製品です。ジャパネットでないと買えない、というオリジナル商品もありますが、基本的には量販店などで買える商品ばかりです。
量販店でも買える商品がなぜジャパネットで売れるのか。中には、量販店ではさっぱり売れなかった製品がジャパネットでヒットしたこともあります。なぜでしょう。私は、自然体でわかりやすく伝えるということを何より大切にしてきたからだと思います。
極意その7:面白く伝える
わかりやすく伝えることと同じくらい大切に心がけてきたのが、「面白く」伝えることです。いくら上手くしゃべれても、テレビを見た人が、「ああ、これはモノを売ろうとしているんだな」と感じてしまうと、それだけで敬遠されてしまいます。大切なのは、テレビを見ている人に番組自体が「楽しい」「面白い」と感じていただけることだと思います。
私はそれをよくよく考えて、いろいろ試してもきました。試してみたことが正解だったのか、失敗だったのかは、数字が教えてくれますから、見極めるのは簡単です。
情熱なきテクニックには意味がない
数字が教えてくれたのは、商品を紹介する中で「その商品をどんなふうに使えば、生活がどのように楽しくなるのか、豊かになるのか」「この商品によって生活はどう変わるか」といったことが具体的に表現できたとき、番組は「楽しい」「面白い」と感じていただける、ということでした。
今は、モノをモノとして売ろうとしてもなかなか売れません。でもハード(商品)の価値は、ソフト(使い方)を提案することで、どんどん上がっていきます。だから、モノを売る私たちは、その商品が、どんな人が、どんな生活シーンで使うことでより輝くのか、より需要を掘り起こせるのかということを、常に想像し考えてきました。商品を飽くことなく研究し想像を巡らせる。それができたとき、面白く伝えることができました。
伝わるために、最も大切なのは、実はパッションであり、情熱です。強い想いがあれば、それは、身体から発せられます。しゃべりの上手い下手に関係なく、テレビショッピングならば、「この商品の魅力を伝えたい」という想いが伝われば、売上が確実に上がります。
「強い想い」を持つこととともに、ここまで述べてきた私なり伝えるコミュニケーションのノウハウ、7つの極意が、皆さんの伝える力を高める参考になればうれしく思います。
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