初公開、ジャパネット髙田明の「伝え方」7極意 引退までの1年間、社員に教え続けたこと

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最初の1分間で何を伝えるのか、ポイントをしっかり絞っておくことが大切です。一度にあれもこれもと4つも5つも魅力を言われても記憶には残りません。5つ言っても言い終わったときには、聞いた方は最初の3つは忘れていますよ。

極意その4:目で伝える。身体で伝える

例えば、小さなビデオカメラを紹介するとき、「このカメラ、小さいんですよ」と語りかけるだけでは伝わりません。小さいことをアピールするときは、必ず手に持つことにしています。名刺を出して並べてみたりもします。そうすれば、カメラのサイズを一目で伝えることができるからです。

手に持って見せるだけでなく、もう一方の手の指でカメラを指さす動作も加えることにしています。すると、お客さまの視線は自然とカメラに向かいます。指さすという動作を加えるだけで、カメラが小さいことをより強くアピールできるんです。

メッセージは全身で伝えることが大切なのです。カラオケマイクでも、私が一曲歌ったときと、そうでないときでは、売れ行きはまるで違いました。

「目は口ほどにものを言う」って言いますよね。目がしゃべる、手がしゃべる、指がしゃべる。テレビショッピングで商品を紹介するとき、私は口で話すだけでなく、手や指でも「話す」ように心がけています。

とことんまで「相手」に合わせる

極意その5:伝える相手を意識する

先ほどもお話ししましたが、ジャパネットでは、例えばタブレットをシニア層向けに提案しています。そのときは、導入から始めて、次のように続けました。

「ほら、タブレットに話しかけるだけで、旅行先でも簡単に検索できますよ」

「行きたい温泉の写真が出てきましたよ。簡単でしょう」

「こうして簡単に地図が見られますよ」

「写真もすぐに撮れますよ」

って、実際に使っているところをお見せしながら、お伝えします。女性向けには、

「季節の旬の料理のレシピがすぐに出せますよ」

「冷蔵庫の中の余った食材からぴったりのレシピが検索できますよ」

って説明しました。

タブレットは、業界の常識を覆すほどシニア世代に受け入れられた(撮影:尾形文繁)

業界の常識を面白いように覆し、タブレットはシニア層に受け入れていただけました。驚くほど売れたんです。一般市場では、タブレットを購入するのは、圧倒的に若い人たちです。ところが、ジャパネットたかたのタブレット購入者の7割以上は60歳以上のシニア世代なんです。

それは、タブレットを使っている具体的な情景を想像していただけるように考えた私たちのメッセージが伝わったからなのだと思います。

タブレットをシニア層に提案するとはどういうことか。若い人が知りたいこととシニア層が知りたいことは違うんです。知識がまるで違うからです。若い人ならタブレットがどんなものかわかっていますから、知りたいのは新商品の性能ですよね。

でもシニア層は違います。タブレットっていう言葉は聞くけど、そもそもどんなもので、どんなことができるのか詳しくは知らない人が多い。シニア層が知りたいのは、タブレットの性能ではなく。生活の中で具体的に何ができるのかだと思いました。

ですから、シニア層が知りたい情報をお伝えすることにしたんです。それがシニア層に提案する、ということです。

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