日本株は無理に急いで買う必要はない 今の円安は行き過ぎ、円高に振れる可能性
だが実際には大統領に就任する前から、それまでの方針や発言を少なくとも一部撤回して、現実路線に進みつつある。トランプ氏にはその資質があり、可能性がある。それを市場は好感しているのだろう。
現段階でトランプ氏が、本当に画期的で新しい米国を作り上げようとしているとは思えない。だが、少なくともこれまでのオバマ政権の政策の多くを否定して、独自の政策を打ち出すことだけは確かである。そして、その政策が経済成長に結びつくのかが最大の焦点である。
政治家や官僚では困難な経済成長モデルの構築を、ビジネスマンであるトランプ氏が主導することになろうが、その周辺を現場で実績を上げてきた人間で固める人事を進めており、戦う陣形は出来上がりつつある。短期的にはいろいろあろうが、少なくとも当初は期待できる雰囲気がある。
とはいえ、だからといって現在の株価をそのまま追いかけて買うのは賢明とは言えないだろう。現時点で想定される株価収益率(PER)から見れば、現在の米国株の水準は歴史的な割高水準にある。自社株買いや配当など、株主への大盤振る舞いで株価が維持されてきた点も否めない。将来的な上昇期待は否定しないが、現時点の株価水準はあまりに高い。
米国株を買うならNYダウ1万7500ドル水準
株価には成長期待が織り込まれることも往々にしてあることから、すべてを否定する必要もない。だができれば、少しでも安いところで、かつ理論的にも説明がつく水準での買いを検討したいところだ。
具体的には、現在の水準から最低でも10%から15%下の水準で買いたいところだ。ダウ平均株価の水準で言えば、1万7500ドル以下というところであろうか。例えばCAPEレシオ(過去の実績利益の平均値に物価変動を加味して計算したもの。割高や割安を測る株式指標の一つ)で見ると、過去15年の平均に相当する水準がこのあたりになる。
これ以下であれば、心理的にも買いやすく、精神的な負担も少ないだろう。振り返ると、トランプ新政権が掲げる政策と比較されるレーガン政権時の1年目のダウ平均株価は9%の下落、2年目以降は劇的な上昇を見せた。もし、この動きを踏襲するのであれば、今年はむしろいったん下がる可能性もあるのかもしれない。逆に言えば、ここは2年目以降の上昇に備えて押し目を拾う絶好の機会になるともいえる。この観点からも、前述の現在の株価から10%から15%下の水準で拾うという考えは合理的であろう。
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