留学生が見た「東大女子」が感じる意外な圧力 女性はもっと自由になっていい
再び「東アジアの洗礼」を受けたのは東京大学に留学してからだ。ショックを受けたことはいくつもある。1年目、東大に複数あるテニスクラブのうち、いくつかは女子が入部するには男性メンバーに対してお弁当を作ることが条件となっていることを知って驚愕した。2年目には、男子の同級生が「日本でのモテ方」を指南してくれた。曰く「女性が独立していると、男性は、自分は必要ないと感じてしまう。モテたかったら自分の弱い面を見せなきゃ」。東大に来てわずか2年余りで、私の心はまた萎えてしまった。
しかし、場所が変ると考えも変るものだ。昨年の夏、私はハーバード大学でサマースクールを受けたのだが、あるとき、男子学生と男女関係の話になった。そのとき彼は、「昔は米国でも、デキる、成功している男性は美人な『秘書タイプ』と結婚するのがつねだった。が、最近は違う。僕の場合、彼女はともかく、結婚する相手はハーバード出身か少なくともアイビーリーグ出身者がいい」と言ったのだ。要するに強くて、頭のいい女性がいいというわけだ。
ハーバード大生の「モデル夫婦」は?
そして彼はこう続けた。「僕だけじゃなくて、多くの学生の理想はクリントン夫妻だ(2人ともイェール大学出身)。今の時代、パートナーシップとは互いに依存することではなくて、夫と妻それぞれが共にキャリアをどう構築し、成功するかということなんだ」。私は、彼のこの話に心底驚いたと同時に、「東大生たちは、結婚やパートナーシップについてどう考えているのだろう」と気になったのである。
そこで私はこのほど、東大生を中心にネットで意識調査を実施した。回答者84人のうち59人が東大生で、そのほかに早稲田や慶応の学生が回答してくれた。回答者の男女比は約3対7、出身国は日本が約47%、約35%がその他のアジア諸国、それ以外がアジア以外の国となっている。
この調査でもっとも興味深かったのは、女子学生たちの回答だ。具体的には、多くの女子学生が、「大学でかわいい格好をして、『まとも』に見えなければいけない」というプレッシャーにさらされていることが回答から見てきてのだ。
たとえば、ある日本人の女子学生は「男子はそうでもないのに、女子が『どう見えるべきか』ということに対する期待感はとても高いと思う。北米に比べると、いい年をしたらきちんとした格好をして、メークをするべきという考え方が強いように思う」と回答。別の日本人の女子生徒も「海外ではメークや服装にそこまで気を使わなくていいため、行くたびに解放された気分になる」と答えている。
女子学生が考える「成功している女性像」も日本特有かもしれない。今回、アンケートに回答してくれた女子学生の多くは、自らを先進的な発想の持ち主であると考えながらも、たとえばある学生は「成功している女性の条件のひとつは、成功している夫がいることだと思うが、男性については成功している妻がいることが成功の条件とは感じない」と回答。別の女子学生たちからも、「今回のアンケートで自分が伝統的な、男性を中心とした社会観を持っていることに気がついた」「自分自身が、女性と男性に対して異なる成功の基準があると考えていることがわかった」などの回答が寄せられた。
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