帰りは別路線を使う「電車で初詣」の楽しみ方

新年はふだん使わない駅で新たな発見を

■金刀比羅宮(香川県)
琴平駅→<金刀比羅宮>→琴電琴平駅

大物主(おおものぬし)神を祀り、全国の金刀比羅神社・琴平神社・金比羅神社の総本宮でもある金刀比羅宮(こんぴらさん)は海上交通の守り神として篤く信仰されている。参詣鉄道として国鉄・琴平電鉄(現在の高松琴平電鉄)・琴平参宮電鉄・琴平急行電鉄が競合する時期もあったが、現在はJR土讃線と高松琴平電鉄の2路線が存在している。

JR琴平駅に停車する特急列車(筆者撮影)

JRの琴平駅からは徒歩約20分。ふもとから御本宮まで785段の階段を上るため、体力も時間もたっぷり余裕を持って出かけたい。帰路は讃岐名物「おいり」の乗ったソフトクリームなど味わいながら、ゆっくり戻るとしよう。途中「ことひら温泉琴参閣」という温泉旅館があるが、ここが琴平参宮電鉄・旧琴参琴平駅があった場所だとか。琴平駅より250メートルほど手前に高松琴平電鉄・琴電琴平駅があり、高松市街まで乗り換えなしでアクセスすることができる。

■厳島神社(広島県)
宮島口駅→<厳島神社>→広電宮島口駅

世界文化遺産にも登録されている厳島神社は、推古天皇の時代に宗像三女神(むなかたさんじょしん)を祀るために建立された。ご利益は交通安全・水難除け。日本三景の一つでもある安芸の宮島、海中に立つ大鳥居や国宝の社殿を拝みに全国から初詣客が押し寄せて大変な混雑になるとか。

以前訪れたときは、JR西日本・山陽本線の宮島口で下車し、青春18きっぷの利用できるJR宮島航路で海を渡った。お参りのあとの食べ歩きは揚げもみじ、島から戻ってあなごめしを堪能。広島方面への戻りは広電宮島口駅から広島電鉄を利用して、並走のJRに負けじと力走する鉄道線・軌道線直通の旅を楽しんだ。

鉄道が生んだ「初詣」の習慣

川崎大師への参詣を目的に開業した京急のルーツ、大師線(筆者撮影)

「鉄道が変えた社寺参詣 初詣は鉄道とともに生まれ育った」(平山昇著・交通新聞社新書)の中で、「初詣」は明治以降の鉄道会社同士の参詣客争奪戦の中で定着していった近代的な参詣行事だという考察に感銘を受けた。たとえば川崎大師参詣のために開業した大師電気鉄道(京浜急行電鉄の前身)など、全国各地に鉄道が敷設されていった理由の一つとして、社寺への参詣客輸送を目的としていたケースも多い。

「初詣の行きと帰りで別の路線を利用できる」ルート、伊勢神宮(三重県)、豊川稲荷(愛知県)、住吉大社(大阪府)などまだまだ全国に沢山あって書ききれなかったが、ぜひとも乗り比べてそれぞれの鉄道会社の想いを感じてみたい。お参りでは、この1年の旅行安全も忘れずに祈願しておくことにしよう。

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