戸越銀座駅が「木造」ホームに変身した事情 開業以来90年ぶりのリニューアル
約1.3キロメートルの通りに400軒あまりの店が軒を連ね、メディアにもよく取り上げられる東京都品川区の戸越銀座商店街。その玄関口である東急電鉄池上線・戸越銀座駅のリニューアル工事が12月11日に竣工した。同駅のリニューアルは、1927(昭和2)年の開業以来約90年ぶりだ。
生まれ変わった同駅を初めて訪れた人は、電車を降りたとたん、そのたたずまいに驚くに違いない。新しくなったホームは、壁から屋根、ベンチに至るまでが「木」。それもそのはず、今回の改装は「木になるリニューアル」と銘打って行われたのだ。
ホームは東京・多摩地区で産出された「多摩産材」の板を格子状に組み合わせた凝ったデザインの屋根が全体を覆い、ログハウスなどの建物内にいるかのような雰囲気。墨色の駅舎は入口にオリジナルデザインののれんがかかり、金属製の切り文字による駅名が輝く。
木造駅舎が刻んだ歴史を受け継いだ
竣工の日は師走の日曜日とあって、商店街は買い物客でかなりの賑わい。駅前ではリニューアルの竣工を知らせるパンフレットが配布され、同駅に降り立った多くの人々が駅舎やホームにスマートフォンやカメラを向ける姿が見られたほか「この木のホームすごいね」「カッコいい駅になったな」といった声も聞かれた。
東急電鉄事業推進部沿線企画課の平江良成課長によると、駅改修の計画が持ち上がったのは4年ほど前。工事は2015年9月に着手し、約1年3カ月をかけて完成した。同駅を管轄する東急池上線・五反田駅の柴沼俊彦駅長は、木材を大規模に使用したリニューアルについて「前の駅舎が木造だった。90年の歴史があったので、それを継続する上でも木材を使おうということになった」と、その経緯を説明する。
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