戸越銀座駅が「木造」ホームに変身した事情 開業以来90年ぶりのリニューアル

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駅舎には新たにデザインされたロゴと、金属の切り文字による駅名が。入口にはのれんもかかっている

 平江氏によると、東急電鉄の駅リニューアルで木材をこれだけ活用した例は初めて。「木造の駅を木造でリニューアルするというのは全国でも珍しいのでは」と同氏はいう。このほかにも今回は「初」の試みが多い。「多摩産材」の活用にあたっては、東京都森林・林業再生基盤づくり交付金事業の補助を受けて実施。これも都内の鉄道施設としては初の事例だ。

今回のリニューアルで使われた多摩産材は丸太にして約470本分、約120立方メートル。鉄骨造に比べて建設段階の二酸化炭素放出量を約100トン削減できるほか、都内で産出された木材を使うことで森を育て、その木を使い、また植える・・・・・・という森林資源の循環利用を促し、東京の森林・環境保全にも役立つという。

そして、意外にも実は初めてだったのが「地域とともに駅のリニューアルを祝うこと」だ。竣工を記念して開かれたセレモニーは、東急電鉄と戸越銀座商店街連合会との連携で行われたが、「工事関係者などと共に行うことはこれまでもあったが、街の方と一緒に駅のリニューアルを祝うのは我々としては初めて」(平江氏)だった。

意外にも初だった地域との連携

駅リニューアルを記念して開かれたセレモニー

今回のリニューアルにあたっては、駅利用者に旧駅舎の思い出などをシールに書き、木を模した絵に貼ってもらうイベント「想いが実になる木」や、駅に使用している多摩産材の原産地、東京都あきる野市での環境学習ツアー、東京大学との連携によるワークショップの開催などが行われてきた。「着工する前から商店街の方と一緒にイベントをやって、一緒に駅を盛り上げていこうというのも初めてだった」と平江氏は語る。

地域と共に盛り上げてきたリニューアルだけに、地元の期待も大きい。戸越銀座商店街連合会の山村俊雄会長は「この1年半東急と情報の共有をしながら、私たちの駅に対する思いをお伝えしながらこういう形でつくっていただいた。今後も90年100年、駅と一緒に栄えていきたい」と生まれ変わった駅に期待を寄せる。

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