「月80時間残業が普通にいる」日本企業の現実

電通・女性新人社員の過労死は氷山の一角か

厚生労働省では、過労死など過重労働による健康障害が高まる時間外労働時間として、「月間80時間超」を目安にしている。いわゆる”過労死ライン”と言われるものだが、月20日間出勤で1日平均4時間残業していると届く水準だ。

日本の企業に、残業時間が月間80時間を超える社員がいる会社は、どのくらいあるのだろうか。HR総研調査で、過去1年以内に時間外労働が月80時間を超える社員がいるかどうかを聞いたところ、「いる」が54%という結果になった。半数以上の企業で月80時間以上残業をしている社員がおり、電通事件は決して他人事とは言えない状況だといえる。なお対象者はアルバイト・パート・派遣などを除外した正社員としている。

もちろんすべての社員がこれだけの長時間労働をしているわけではない。しかし、人事関係者が把握する実態として80時間以上残業をする社員がいる企業が半数以上ということは、電通過労死問題がマスコミで取り上げられるのはまさに氷山の一角であり、残業時間の多い社員がいる企業はごく普通に存在しているということだ。

なお、この80時間ラインだが、企業にとって「厳しすぎる(長くてもよい)」と考えているのは8%。49%が「月80時間は適切」と考え、43%が「もっと厳しくしてもよい(短くする方がいい)」という意向を示す。

9割以上が労働時間短縮に取り組む

日本の企業は、長時間労働に対して何も対策を講じていないのかというと、決してそんなことはない。時間外労働を削減すれば、企業としては残業代の支払いを削減できるし、社員の健康維持やワークライフバランス(仕事と生活のバランス)も向上する。そのため企業の人事はさまざまな施策を実施している。調査結果では9割以上の企業が何かしらの労働時間短縮の対策を講じていた。

具体的な対応策の中で最も多いのが、「残業の事前届出制、許可制」(62%)だ。社員が残業をする場合、管理者に届け出をし、許可が下りたら残業をするという仕組みである。これから社会人になる学生の方には、「上司から命令されて仕事をしているのに、なぜ本人が残業しますと届け出るのだろう?」と、素朴な疑問が生じるかもしれない。そもそも法律上も残業は「会社(管理職)が命じる」ものだ。

実はここに日本のホワイトカラーの働き方の特徴がある。残業は上司に命令されてやるというより、期日までに課された仕事を終わらせるために自分から進んで行うというケースが多い。「今日は2時間残業をさせてください」と申請し、それが管理者に承認されたら残業ができるようにする、という仕組みを導入することで、時間を意識させて仕事をする習慣をつけさせ、残業を抑止しようというわけだ。

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