上場したJR九州はどこまで利益を増やせるか 固定資産を一括減損して、鉄道黒字化果たす

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むろん経営安定基金の上にあぐらをかくことなく、鉄道事業の収益確保に力を入れてきた。JR九州の場合は観光列車戦略だ。「いさぶろう・しんぺい」「指宿のたまて箱」「海幸山幸」といった観光列車は鉄道ファンなら誰もが知っている存在だ。「JR九州のような観光列車がわが社にも欲しい」と、JR九州の観光列車デザインを一手に引き受ける工業デザイナー・水戸岡鋭治氏の元には、日本中の鉄道会社からデザインの依頼が舞い込む。

看板列車「ななつ星」は豪華な車内とおもてなしが人気(撮影:梅谷秀司)

2013年には30億円を投じて豪華寝台列車「ななつ星in九州」を開発した。あまりにも豪華な内装に「採算度外視では」という懸念もあったが、2014年1月の週刊東洋経済のインタビューで、開発を指揮した唐池恒二会長(当時社長)は「10~15年で十分回収できる」と自信を見せた。実際、運行から3年経った今も抽選倍率が20倍を超える人気ぶりだ。もちろん、観光客の利用だけでは鉄道事業の収益を大きく押し上げることにならないが、「JR九州が元気だ」というアピールには成功している。

地域やJRの枠超えた、「非鉄道事業」の強み

非鉄道事業も特徴的である。駅ビル、不動産、流通、ホテル。これらが2016年9月中間期の売上高に占める割合は51%と過半を超える。非鉄道事業の売上比率が2~3割にとどまる本州3社と比較すると、JR九州の非鉄道事業の傾注ぶりが際立つ。実際、過年度の決算では、非鉄道事業がもたらす利益で鉄道事業の赤字を埋めて営業黒字化に成功。経営安定基金に頼ることなく経営を安定化させている。

ミニSLの賃貸、宅配便取り次ぎサービス、きのこ栽培──。会社発足時からJR九州は多岐にわたる新規事業に取り組んできた。中にはアイスクリーム店のように、後に撤退を余儀なくされた事業もある。

JR九州のほかにも非鉄道比率が高い鉄道会社はある。たとえばJR北海道の非鉄道比率も42%と、本州3社より高めだ。ただしJR北海道の場合、札幌駅を再開発した大規模複合施設を除けば、残りの展開は小粒だ。鉄道の赤字を埋めるだけの利益は生み出せていない。つまり非鉄道比率の高さというよりも、非鉄道事業の収益力の高さにJR九州の強みがある。

では、この収益力の高さの源泉はどこにあるのか。同社の事業展開の様子を見ればそれは明白だ。たとえばホテル事業。JR九州は、九州域内だけでなく2014年に東京・新宿にも進出している。今後は新橋や沖縄にも開業する予定だ。居酒屋事業「うまや」も九州域内だけでなく、東京や上海にも積極的に出店を重ねている。

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