「北方領土と沖縄」が日米関係に与える変化 佐藤優が予想するトランプ大統領のスタンス

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知床峠から望む北方領土(写真:ヒロ / PIXTA)
来年1月20日、米国でトランプ大統領が誕生する。日米関係にはどのような変化が生まれるのか。5人の論客との対談をまとめた著書『秩序なき時代の知性』を上梓した、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が2つの大きな影響を予想する。

世界を席巻したトランプ大統領誕生の衝撃

国際社会の秩序が大きく変化しつつあります。2016年11月8日に行われた米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ候補が民主党のヒラリー・クリントン候補(元国務長官)を破って当選したことは、その最たる例です。

<米大統領選で当選を確実にしたトランプ氏は9日未明(日本時間同日午後)、ニューヨークで支持者に向けて勝利演説した。民主党のクリントン前国務長官から電話を受けたことを明かし、「我々すべてを祝福した」と話した。
「すべての米国民のための大統領になる」「米国でこれまで忘れられてきた人々は、もう忘れられることはない」と語りかけた。
また「米国は分裂の傷を乗り越え、団結すべき時だ」とも呼びかけた。
「ビジネスの経験を生かし、米国に貢献したい」とも主張し、内陸部の都市や高速道路などのインフラの整備を誓った。>(2016年11月9日「朝日新聞デジタル)

この結果に日本、EU(欧州連合)、オーストラリアなどはショックを受けています。なぜでしょうか? それはこれらの諸国は、現在の国際秩序が続いたほうが、国益にかなうと考えているからです。

他方、現在の国際秩序が抜本的に変化したほうがいいと考えているロシア、中国、北朝鮮、イランなどはトランプの当選を歓迎しています。

トランプ氏は政治家としての経験がまったくありません。従って、過去の経緯や国際法に関する知識が不可欠である外交について、同氏はこれから猛勉強をするでしょう。一部、極右派の立場に寄り添うような閣僚人事を発表していますが、トランプ氏が大統領に就任する2017年1月20日の後、具体的にどのような外交政策を展開するかについては、本人も現時点では決めていないと思います。しかし、「チェンジ(「変化」)を公約に掲げたオバマ政権よりも、はるかに大きな変化がトランプ大統領の下で起きることは間違いないと思います。

日本との関係では、北方領土と沖縄の2点で変化が起こる可能性があります。

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