「EU崩壊」などは近視眼的な妄想に過ぎない

ヨーロッパは昔からいつもたいへんだった

今年6月に英国民はBrexitを選択した。離脱までは3段階ある。英国が交渉プランを作成し、EUに交渉を通告(第1段階)。そこから英国とEUの脱退交渉となる(第2段階)。交渉が妥結すれば、2019年7月に離脱という(第3段階)。

英国のメイ首相は2017年3月に交渉通告をすると公言し、「交渉まで手の内は明かさない」とも言っていたが、裁判所の判決により、議会で離脱方針を審議することになりそうだ。そうなると、交渉開始はずれ込むかもしれない。
国民投票では離脱票とと残留票は僅差で、世代間、地域間で判断は大きく割れている。どんな方針を出しても、すんなりとはいかない。離脱方針はまだ決まっていない。

英国、EUともにダメージ大きい

製造業はEUの関税同盟と単一市場に、農業は共通農業政策に、サービス業は単一市場にと、みんなEUにどっぷり足を突っ込んでいる。在英企業と大陸企業の間にはサプライチェーンが複雑に形成されており、英国が関税同盟から離脱すると、在英の日産やトヨタ、それに2500社の在英ドイツ企業、他の加盟国の在英企業等々の一部は英国からの離脱へ動くであろう。

共通農業政策の下で英国は約5.5兆円の農作物を輸入、1.5兆円ほどを輸出しているが、いずれも4分の3はEU相手だ。共通農業政策から離脱すると、農産物平均20%の関税、規制など非関税障壁に引っかかる。ダメージは英国・EU双方で大きい。勝者なき離脱になる。

メイ首相や閣僚はインドやアラブを訪問し、米国、中国へも秋波を送るが、英国の輸出シェアは中国5%、インドは1%で、約50%のEUとは比較にならない。40数年も一緒にやってきたのだから、切り離し自体そもそも無理な話なのだ。

英国はEU離脱を撤回するのがよいというのが筆者の考えだ。しかし決めた以上離脱しかない、というのであれば、「形式離脱、実質残留」方式を追求するのがよい。すでにブリュッセルのシンクタンクからそうした提案がなされている。

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