「必要な資質は、おもてなしの心、思いやり、人あたりのよさです。これはホテルの現場の接客スタッフだけでなく、すべての社員に求められる資質で、お客様の笑顔と感動を創出することのできる人材が求められます。また、プリンスホテルは各事業所同士の連携も頻繁に行われますので、周囲との協調性とチームワークに取り組む姿勢も重要ですね」と國吉課長。
ほかのホテル会社の求める人材を見ても、「『いつも、ありがとうのいちばん近くに。』という“おもてなしの心”を持っている方」(藤田観光)、「『ホスピタリティ』『バイタリティ』『改善の意識』を持ち、それらを主体的な行動に移せる人」(ミリアルリゾートホテルズ)というように、「おもてなしの心」や「ホスピタリティ」というのが重要なキーワードのひとつとなっている。
稼働率アップには営業セールスが大事
一方、社員たちのキャリアプランは、どのようになっていくのだろう?
「プリンスホテルの場合、大きく分けると2つの道があります。一つはエリアスタッフ。こちらは1つの地域に密着して、その地域にあるホテルや事業所で働きます。もう一つはナショナルスタッフで、こちらは国内外すべての事業所に異動が可能なスタッフです」(國吉課長)。どちらの道も異動に制限があるかないかの違いだ。しかし、社内にはホテルの現場で長年働き、接客サービスを極める人もいれば、宿泊プランなどの商品を企画したり、宣伝プロモーションや経営戦略に携わる仕事を希望する人もいるという。
「ホテルでのサービスが弊社の主力商品であることは間違いありません。ただ、客室、宴会場、レストラン、会議室など充実した設備があって、優秀なスタッフがいたとしても、その日にお客様に使っていただかないと、売り上げにつながりません。ですから、個人、法人、団体を相手に利用をうながす営業セールス部門のスタッフの仕事も、非常に重要なのです」(國吉課長)。
宿泊客だけでない。個人向けのブライダルはもちろん、企業の株主総会、大学の入学式、卒業式、自治体の成人式といった式典、セレモニーの機会に会場を提供することも、ホテルにとって重要な事業だ。
プリンスホテルと言えば、数千人が収容可能な大会場を有するホテルとして、よく知られている。東京・芝公園にある「ザ・プリンス パークタワー東京」は3600人収容できる会場が2つあり、「びわこ大津プリンスホテル」のコンベンションホール淡海は関西最大規模と言われ、毎年、大津市の成人式が行われる会場となっている。さらに、「グランドプリンスホテル新高輪」の国際館パミールは日本最大級の広さを誇り、2000~3000人を収容できるホールが複数ある。ここでは日本アカデミー賞の授賞式を始め、プロ野球ドラフト会議の会場などにも使われている。こうした設備の稼働率を上げるために、営業セールスの力は当然、欠かせないものとなっている。
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