ホテルマンの必要能力は「おもてなしの心」だ ホテル会社が採用で求める能力・資質と待遇

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「プリンスホテルは、設備やサービスが画一的なものではなく、地域によってカラーが異なります。水族館や映画館が併設されているホテルもあれば、ビュッフェ形式のレストランに力を入れているホテルもある。それぞれの地域の強味となる特色を生かした提案を行っていかなければなりません」と國吉課長は語る。こうした営業セールスに携わるスタッフ間の共通するポリシーは、「お客様にNOと言わないサービスを提供する」ことだという。「もちろん、お客様のご要望にすべて100%応えられるわけではありませんが、限りなく完璧に近づけるためのコーディネイトを行うよう、すべてのスタッフが努力をしています」(國吉課長)。

近年、インバウンド誘客とともにプリンスホテルが力を入れている事業に、MICE事業がある。MICEとはMeeting(会議・セミナー)、Incentive(表彰・招待)、Convention(学会・国際会議)、Exhibition(展示会・見本市)といった行事やイベントを指す総称で、会議や学会などを開催したり、それを目的に訪れる客に対して食事・宿泊・オプションプランを提供する事業のこと。プリンスホテルは2010年代のかなり早い時期から、このMICE事業に積極的に取り組んでいる。

国際会議などMICE需要をどう取り込むか

「『お客様にNOと言わないサービス』というポリシーを徹底している」と語る、プリスンホテル人事部の國吉宣弘課長 (撮影:梅谷秀司)

「この事業でも『お客様にNOと言わないサービス』というポリシーは徹底しています。ある国際会議が行われたときの話ですが、開催されたのが春だったので、日本らしい満開のサクラを見ながらできないだろうかと、お客様からご要望をいただいたんです。ところがその会場の庭にはプールがあって、サクラの見えない角度にありました。担当者は考えた末、プールの水を抜いたところに、他の場所からサクラを移動させたんです」(國吉課長)。空港とのアクセスがいい品川・高輪エリアでは、”PRINCE TOKYO MICE CITY”というコンセプトを打ち出して、今後もニーズの掘り起こしを行っていくという。

ひとくちにホテル業といっても、接客サービスだけでなく、実に多様な仕事があることが國吉課長の話を聞くとよくわかる。

最後に待遇だが、プリンスホテルの平均年収は公表されておらず、初任給は大卒の首都圏勤務のナショナルスタッフで、20.6万円となっている。参考までに、主な上場ホテル企業の平均年収と初任給は、帝国ホテルが平均年収563万円(平均年齢37.3歳)、初任給20.3万円。藤田観光が平均年収575万円(平均年齢41.3歳)、初任給は大卒で19.3万円となっている。

内藤 孝宏 フリーライター・編集者

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ないとう たかひろ / Takahiro Naito

「ボブ内藤」名義でも活動。1990年より25年間で1500を超える企業を取材。また、財界人、有名人、芸能人にも連載を通じて2000人強にインタビューしている。現在、宅ふぁいる便「私の職務経歴書」にてインタビュー記事を連載中。著書に『ニッポンを発信する外国人たち』『はじめての輪行』(ともに洋泉社)などがある。

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