「欧州の火事」難民問題は対岸に飛び火するか

「バルカンルート」に漂う難民たち<後編>

”バルカンルート”上で足止めされ、滞留する難民たちの現状をレポートする
難民・移民の群れが、バルカン半島を北上しヨーロッパへなだれ込んでいる。しかし、足並みのそろわない欧州連合(EU)の対応に、彼らはいま”バルカンルート”上で足止めされ、滞留する。
もはや「戦後ヨーロッパで最悪の人道危機」と呼ばれ、大混乱が続くこの難民問題。はたして日本人にとっては対岸の火事なのか。難民受け入れに慎重な姿勢を続ける日本の、これから取るべき道とは何か。
冬を前に再びうごめく難民を”バルカンルート”に追った。

前々回記事:「バルカン流浪の道は「留置場」と化していた」
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動き出したバルカンの難民たち

間違いなく業を煮やしたのであろう。10月に入って、セルビアの首都ベオグラードで300人を越える難民が収容所を飛び出し、200キロ先にあるハンガリー国境へと歩き始めた。

「俺たちは人間だ。家畜じゃない。水も食料もいらない。とにかく国境をあけてくれ」

地元ニュースはことさら強い口調のシリア人の声を拾い上げる。掲げたプラカードも激しい文字が並ぶ。それは待遇に抗議する難民たちの「デモ行進」だと報道された。

UNHCRから支給されたバックに、難民の少年が自分で買った防寒具を大切にしまい込んでいた

「途中まで歩いて、あきらめた。ハンガリーの国境があかないのは知ってたからね」

ニュース報道とは異なり、冷めた口調で難民のひとりが話す。

彼は仲間とともに、ベオグラード中央駅前の公園を一日中過ごす場所にしていた。そこはいつしか中東難民の溜まり場と化し、飲食や洗濯、情報交換、数十人が野宿もする。町の中心部にこつ然と出現する”難民キャンプ”だった。

見回る警官のかたわらで、セルビア人の老女が広場を占領する彼らに詰め寄る。苦情を言ってるようだが、互いに言葉も通じずかみ合わない。遠くではメッカの方角に頭を垂れ、コーランを呟きながらの「お祈り」が始まった。

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