個人型DC、金融機関を比較する上での「盲点」 手数料より、もっと大事なものがある

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しかし、信託報酬は運用商品ごとに多種多様で、パーセント表示で直観的にイメージし難いこともあり、個人型DCの金融機関の選定に際し、信託報酬について解説しているマネー雑誌やFPはごく少数派である。

逆に言えば、信託報酬の重要性についてきちんと言及してくれるかどうかが、専門家として信頼できるかどうかの判断の分かれ目になる。

ラインナップやサポート体制にも要注意

(3)商品ラインナップやサポート体制も視野に

個人型DCにおける金融機関の選び方のポイントとしては、手数料水準に加えて、「商品ラインアップ」や「サポート体制」についても指摘しておきたい。

個人型DCでは、金融機関が選定・提示する運用商品の中から加入者が自ら選択する必要がある。しかし、取り扱っている運用商品の本数が少なかったり、あるいは似たタイプの運用商品ばかりだったりすると、個々の加入者のニーズを満たせなくなる。金融機関がどのような運用商品のラインアップを揃えているかは、量(商品の本数)だけではなく質(運用商品のリターン・リスク特性、信託報酬の水準など)をみることも重要である。

また、個人型DCのマーケットが拡大・成熟化するに連れて、金融機関の店舗やコールセンター等でのサポート体制もいずれは重要なポイントになる。インターネットでの直販が主体のはずのネット証券やネット生保でも、顧客基盤の拡大とともに、リアルの店舗を設けたり、代理店での販売に乗り出すなど、「対面販売」を強化する動きが見られる。DCのような自己責任での長期資産運用が求められる制度ならば、なおさらのこと、運用の見直しが必要になる。専門家へ相談したくなる局面が出てくるはずであり、窓口体制のことも考慮にいれるべきだろう。

瀧川 茂一 プルーデントジャパン代表取締役

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たきがわ しげかず / Shigekazu Takigawa

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了、ファイナンス修士(専門職)MBA。システムエンジニアを経て、自身のライフイベントをきっかけに、確定拠出年金分野での教育専門会社であるプルーデントジャパンに入社。多くの運営管理機関からのアウトソース業務を請けつつ、事業主から直接、「加入者目線の継続教育」の企画を依頼され年間200回以上の 「DC継続教育」プロデュースを手掛ける。近著に『5,000円から始める確定拠出年金』(彩図社)がある

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