マツダ「ロードスターRF」は一体どんな車か 2リッターエンジンの余裕と独特なスタイル
オープンにしてもウィンドシールドは高さも抑えられ、かつ角度も適度に立っていて、運転していてすこし目線を上に動かすだけで空が見える。フルオープンの感覚である。といっても風の巻き込みは抑制されていて、しかも真冬にオープンでというときに備えてシートヒーターも設定されている。小さなコクピットだけれど必要なものは揃っているのだ。
車体は軽いけれど脚まわりにとびはねるような軽薄さはなく、クローズドのクーペの姿かたちから期待される大人っぽさだ。あらゆる場面でしっかり洗練性が感じられる。
オーナーのプライドをくすぐるオーラ
スタイリングは今回の開発責任者の中山雅史氏がデザインのとりまとめも兼任していたこともあり破綻なく、張りのある面と緊張感のあるラインとが工芸品のような美をつくりだしていると思う。とりわけ操縦席からボンネットを眺めていると、すばらしく“いいもの”感がある。オーラと表現したほうがいいかもしれない。それがオーナーのプライドをしっかりくすぐってくれるのだ。
小ぶりで握った感触のいいステアリングホイールといい、節度感があり意図したゲートに気持ちよくおさまるマニュアルのシフトレバーといい、よく出来たスポーツカーの常として五感を刺激するクルマに仕上がっている。
エンジンサウンド(吸気音と排気音)は中音域の小気味よいものだ。回転をあげていったときの音といい、シフトダウンのためにアクセルペダルをいちど踏み込み回転あわせをするときにやはり回転があがったときの音といい、このクルマを手にいれたことのご褒美といってもいいのではないかと思うほどだ。
グレードは「S」(324万円〜)、「VS」(357万円4800円〜)となっていてともに6段マニュアルと6段オートマチックの変速機が備わる。頂点に立つのは「RS」(373万6800円)で、こちらはマニュアルのみだ。
ロードスター RFは純粋なスポーツカーなので、室内に荷物を置けるスペースはない。127リッターと「ソフトトップなみ」(マツダの資料)の容量が確保されている後部の独立した荷室を使えばよい。ポルシェも同じでリアルスポーツカーである718 ボクスターと718 ケイマンの室内には荷物のスペースがいっさいない。ロードスター RFはその潔い魅力を備えているのだ。
(文・小川フミオ)
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