学資保険がダメならどう貯金すればいいのか 「子供の教育費だけを貯金する」のは間違い
結論を出す前に、大垣家のライフプランニングについて確認したいと思います。なぜなら、大垣家が備えなければならないのは、「教育費」だけではないからです。
家計にとっては、「いかに貯められるか」が大変重要です。そもそもおカネに色はついていません。「教育費のためにいくら」というような細かな線引きは、必要ありません。重要なのは、お子さんの今の年齢から、大学入学までにいくら現金を確保できるか、その後の老後までに、さらにいくら貯蓄を増やせるかです。
「教育費貧乏」にならないために、必要貯蓄率を把握
では具体的にはどうすればいいのでしょうか。「老後貧乏にならないための教育投資の仕方」でお伝えしたように、「必要貯蓄率」を算出して、直ちに、毎月、いくら貯蓄をしていくべきかをはっきりさせることです。
「貯蓄」ですが、これは、「預貯金」だけをさすものではありません。この「貯蓄」とは、経済学でいうところの「所得=消費+貯蓄」の「貯蓄」であり、つまり、所得の中で支出せずに残しておく金額のことです。
この貯蓄の方法は、預貯金のように「流動性」を第一に考えるもの、定期預金や個人向け国債など「安全性」を重視するもの、投資信託や株式など「収益性」を目指すものなどを適切に選択し、もっとも合理的で効率的な手段をとるべきです。
大垣さんの話に戻りましょう。大垣家は、夫婦共働きで、これまでこつこつと貯蓄を続けてきましたので、現在、450万円の貯蓄があります。では早速「必要貯蓄率」を求めてみましょう。
ここで「人生設計の基本公式」に必要な数字は、以下の数字の通り※とします。この人生の基本公式とは、「老後に現役時代の何%くらいの生活水準で暮らすか」を自分で決め、今持っている資産や将来もらえる年金などの額を入れると、一発で個々人に応じた「毎年必要な貯金率や貯蓄額」がわかるという優れものです。「人生設計の基本公式」についての詳しい解説はこちらを参考にしてください。文章の最後のほうでも再掲しますので、このまま読み進めていただいて大丈夫です。
大垣さんは、老後の生活水準は、今の現役時代の50%の水準で生活しようと考えていますので、「老後生活比率」は50%で計算することにします。
(※大垣さんが毎年貯めるべきおカネを計算するのに必要な数字)
手取り年収900万円(夫婦共稼ぎの平均年収の合計です)、年金推定額270万円、現在資産額450万円、現役年数25年、老後年数30年、老後生活比率50%。
これらをもとに計算してみると、「必要貯蓄率」は約13.8%で、年間124万円の貯蓄が必要になりました。月額にしてみると、約10万円です。結婚して8年ということですので、現在の貯蓄額450万円から、これまで、年間約56万円の貯蓄ができていた計算になりますが、さらに68万円の貯蓄が必要です。
そこで、「必要貯蓄率」を達成するために2つの策を講じました。1つは保険を見直すこと。もう1つは児童手当を全額貯蓄にまわすことでした。1つずつ見ていきましょう。
まず保険を見直して、支出を減らします。
保険の見直しは、支出を大きく減らすことができます。見直し対象になったのは、35歳のときに加入した①収入保障特約(死亡年金月額20万円で60歳まで保障)のついた終身保険(保険金額500万円・保険料月額2万0030円)と、上記の②学資保険(2つ)です。
これらは、両方とも「払い済み」にすることにしました。この「払い済み保険」とは、保険料の払い込みを中止して、その時の解約返戻金をもとに、保険期間を変えないで、一時払いの養老保険や元の契約と同じ種類の保険に変更することです。保険金額は小さくなりますが、そのまま運用は続けられて満期に保険金が支払われます。特約はなくなります。
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