成果はすぐに出た。お見合いの申し込みが「会い切れないほど」に急増したのだ。同じ男性としてはちょっと恥ずかしくなるほどの露骨さだが、これが現実なのである。
「相談所主催のパーティに参加したら15人から申し込まれたこともあります。私にとっては絶頂モテ期の到来です。婚活が楽しくなってしまいました。いい男性もいたんです。何度かデートをしたのに、私のほうからは追いかけようとはしませんでした。もっといい人がいるだろうと思っちゃったんですね。モテていたので驕りがありました」
たった1歳の違いなのに
美香さんの反省には理由がある。モテ期はすぐに終わり、年を追うごとに申し込まれる数が減っていったことだ。
「たった1歳の違いなのに、36歳と37歳では男性の反応がまったく違うんです。年齢をこんなに意識しているのか、そんなに子どもが欲しいの?と愕然としましたね」
ただし、美香さんも条件が緩いとは言えない。「多少年上でもいい」と言いながらも10歳も年齢が異なる男性は想定に入れていないようだ。同世代の場合でも、見た目が若いことは必須である。
申し込みの数はどんどん減り、何度かデートをして交際にまで発展していた2歳年上の男性からは「やっぱり君とは結婚できない」と告げられた。それでも美香さんは婚活を完全にはやめなかった。親はいつまでも生きているわけじゃない。細くても長く婚活を続けようと思ったのだ。
そんな矢先に奇跡が起こる。何度も参加していて常連客になっていたパーティの席で、見た目が若々しい男性と出会った。外資系企業に勤務している和則さんだ。気になる男性ではあったが、1次会の会場ではまったく話しかけてこない。2次会の席でたまたま隣の席に座った。お酒も入っていた美香さんは腹立ちまぎれに持ち前のざっくばらんさを発揮する。
「あなた、私に興味がないでしょう」
酒乱スレスレの発言である。しかし、和則さんは意外な答えを返して来た。
「そんなことはありません。今日、一番いい(女性だ)と思っていました」
な、なんだって! 美香さんは即座に体内アルコールを消した。年齢を聞くと39歳。同い年ではないか。聞けば、和則さんは結婚相談所に入会したばかり。これは絶対に逃せない。
半年後、美香さんと和則さんは結婚をした。あきらめず焦りもせず、細く長く婚活を続けていこうと決めた成果である。
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