風俗に売られた「3児の母」の壮絶すぎる半生 1000万円の連帯保証が転落の始まりだった

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3人の子どもを育てなければならない。借金を完済して風俗を辞めた山内さんは、介護の仕事に就く。介護保険導入直前で介護業界は未来産業として盛り上がっていた。ヘルパー2級を取得し、訪問介護事業所の登録ヘルパーとなった。しばらく続けるうちに社員になることを誘われて役職に就いた。

「介護は大変でした。異常っていうくらいやることがあって、時間内では絶対に終わらない。登録ヘルパーからサービス提供責任者、管理者って責任がどんどん重くなって、私が主にやらされたのは書類や事務関係の全部です。書類整備や国保請求から、給与計算、新しい事業所の認可の書類まで作らされて。勤務時間は朝8時~夜11時みたいな状態です」

介護事業所は現在に至っても常勤社員に長時間労働をさせ、差額を利益にするという悪質事業所だらけだ。山内さんはいわれない借金を背負わされて風俗に売られ、そこから抜け出した後はブラック労働に足を踏み入れてしまったのだ。1日15時間に及ぶ労働をさせられたら、子どもを育てようがない。家庭は小学生の長女が弟と妹の面倒をみる、という状況となった。

夕方一度帰ってまた仕事に戻る日々

「休憩を挟むっていう決まりがあるじゃないですか。夜6時ぐらいに1時間だけ休憩をもらって、一度家に帰って子どもにご飯を食べさせてまた仕事に戻るみたいな。介護は5年続けましたが、家事もしなきゃならないし、結局、睡眠時間を削るしかないですよね。1日2時間とか3時間しか眠れない日々が続いて、最終的には体を壊しました」

給与は手取り24万円ほど。シングルマザーは長時間労働をしないと家庭を維持できる賃金を稼ぐことができない。しかし、長時間労働をすれば育児ができず、子どもが犠牲になる。そして多くの介護事業所は違法労働によって従業員の家庭が壊れることに無頓着だ。

「その介護で無理に働いたことで、長女が不安定になりました。親の愛情が十分じゃなかったことが理由です。本当に申し訳ないと思っています。次女が適応障害になって不登校になったのは、それからしばらくしてだけど、私が当時家にいてあげられなかったことは大きいでしょう。自分の精神状態もどんどんおかしくなって、記憶が途切れるみたいなことが起こり始めたのもその頃からです。何もかもがおかしくなりました」

不眠が始まって、何日か眠れないという状態が頻繁に起こる。執拗な頭痛とめまい、頭が痛くて視界が二重になる。耐え難い苦痛で、仕事は手につかない。病院に行くと脳脊髄液減少症と診断された。長時間労働と子育てに追われ、限界を超えて働いたことが理由だった。

「続けるのは不可能だったので、訪問介護事業所は辞めました。一応、会社に事情は話しましたが、あまり興味ない感じで謝罪もねぎらいの言葉もなく、冷たく追い払われた感じです。ほかの仕事をしたくてもできる状態じゃない。わらにもすがる思いで役所と福祉事務所に行って生活保護を受けることにしました」

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