「特別永住制度」は見直すべき時期に来ている

法改正による「新たな付与」は必要なのか

旧西ドイツでは1956年に国籍問題規制法を改正。1938年3月の併合によりオーストリア人に付与されたドイツ国籍はオーストリアの独立によって消滅するとともに、西ドイツ在住のオーストリア人には国籍選択の権利を認めた。

1962年、フランスの植民地だったアルジェリアが独立した際には、在アルジェリアのフランス人、在フランスのアルジェリア人の双方に国籍選択の自由が認められている。

だが日本においては国籍選択を制度化することはなかった。「民族のアイデンティティを尊重したもの」であり選択の必要はないと見なされてきたのである。

実際にこのたびの二十数名を対象とする法改正でも、「当事者の民族アイデンティティを尊重する」ことが趣旨のひとつである。しかしそのアイデンティティは、国籍選択を許さないほど強いものなのだろうか。

まず現実を見ておこう。特別永住者の数は近年、継続的な減少が続いている。2000年以降を見ても、2000年には51万2269人、2001年には50万782人、2002年には48万9900人、2003年は47万5952人、2004年には46万5619人と減り続け、直近の2015年末では34万8626名まで落ち込んでいる。

さらにその構成を見ると、2015年末には80歳以上は2万4001名(男子7861名、女子1万6140名)と多いものの、年齢が下がるにつれて減少し、0歳となるとわずか809名(男子429名、女子380名)。若い層での”特別永住権離れ"が目立っている。

韓国政府が特別永住者を冷遇する例も

特別永住権を持つ韓国人にとって頭が痛い問題は、韓国政府から冷遇されているという事実だ。韓国人と結婚して韓国に住む特別永住者が韓国政府から子どもの保育料支援を受けることができず、韓国政府を訴えたという事例を2015年11月17日付けの聯合ニュースが報じている。

保育料支援は難民にも外国人にも支給されるのだが、韓国政府が定めた「支援対象選定基準」には「在外国民として住民番号の発給を受けた者」を除外する規定が存在し、これに該当するのが特別永住者なのである。

時代とともに人々の意識は変わり、利害のありようも変わっていく。いつまでも特別永住制度を残すことを前提とした議論を見直す時期に来ていることは間違いない。

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