映画「この世界の片隅に」製作プロセスの秘密

クラウドファンディングの「実態」

全国公開作品であれば、当然、全国規模の広告・スポット展開が行われるところだが、「この世界の片隅に」の場合はTVスポットを打つ宣伝費の余裕がなく、また地上波テレビ局でのパブリシティ展開もNHKを除いて、現在のところ実現していない。

通常の映画興行とは逆の現象

にもかかわらず、新聞、ラジオといったメディアがシニア層、ウェブでの盛り上がりが若い観客にリーチし、公開以来、週を追うごとに上映館の数も入場者数も興収も上昇する現象を見せている。これは通常の映画興行とは逆のパターンで、このペースが続けばロングラン興行は必至。とりわけ都内の1〜2スクリーン規模の上映館では、立ち見を入れても観客がさばききれない事態が続いている。この盛り上がりが地方にまで波及すれば、全国レベルのヒット作になることは確実だ。

アニメ企画プロデュース会社GENCOの社長であり、同作品のプロデューサーを務めた真木太郎氏

また『この世界の片隅に』は海外配給も英国、フランス、ドイツ、メキシコ、米国をはじめ世界15カ国で決定しているが、公開時にそれぞれの国を片渕監督が訪問し、現地の人々と交流することを実現すべく、再度、クラウドファンディングで海外渡航・宿泊費用を公募したところ、わずか2日間で目標額である1080万円を達成してしまった。

「この映画を作りたい!」と願うクリエーター、そして「この映画を見たい!!」と応じたファン。両者の幸福な出会いを成功の域に高めるべくプロデュースしたのは、この映画の実現を望み、クラウドファンディングで支援を行い、映画館で感動の涙を流し、それをさまざまな手段で周囲に伝えた観客たちに違いない。

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