目指すべき組織は、「全員でひとつの身体」だ 自衛隊特殊部隊に「非常時の組織論」を学ぶ
2001年3月27日、自衛隊初の特殊部隊が海上自衛隊に創隊された。私は、その創隊準備を含め、足かけ8年在隊した。
2007年に自衛隊を辞めた後は、単身、フィリピンのミンダナオ島に飛び、そこをベースにして世界の各地で特殊戦に必要な技能や知識を身につけた。本連載では、この経験から私が学んだ組織論をお話ししていきたい。
「とにかく俺を疑え」
「今から1年間、やることなすこと、誰も経験のないことだ。だから、俺がやろうとすること、おまえらにやらそうとすること、すべて疑え。やろうとしていること自体が間違いかもしれない。この中の誰かが、今からの訓練で死ぬかもしれない。『何であんなことをやろうとした? できるなんて思った?』と後から言ったって、死んじまった者は生き返らねえ。とにかく俺を疑え」
特殊部隊の訓練を初めて行うに当たって、私は特殊部隊要員の学生たちに本音を明かした。
創隊の1年後には特殊戦に関する教育を終了し、われわれは実戦配備に就く。そこまでの私の立場は、教官兼学生という奇妙なもので、特殊部隊要員に特殊戦の教育をしながら、自分も特殊部隊要員として特殊戦の技術を習得する必要があった。
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