親は死ぬまで親です
知人で「もう、子供のほうがしっかりしてきたから、叱るなんてとんでもない」と言う人がいます。子供がまだ未成年のときでした。とんでもない考えだと思います。ある分野では子供が越えても、年の功で絶対に越せないことがあるはずです。
それに越す越さない以前に、親だからできるアドバイスもあるはずです。信頼関係があればこそ言える小言なりアドバイス。私は息をしている最後の瞬間まで、“親を張る”つもりです。先の例の「信頼関係が壊れるのが怖くて、断れない」親子関係なんて、もともとそこに信頼などないことに、どうして気づかないのでしょうか。親がまず、しっかりしないといけません。
コメントしてくださった学生さんの親御さんの、学生さんへの信頼が、一見たやすいようで、実はご両親の不断の努力の裏付けあったればこその話であることを申し上げたくて、経験上の悪例まで引きながらお話させていただきました。
最後に参考になりますかどうか、2つの例を。
30年以上前の話です。私の老父母が暮らす実家に、無家賃で学生さんが下宿しました。甥の家庭教師料と引き換えでした。下宿が決まったというので、九州の山中から母親が尋ねて来ました。来る道中、いろいろな人に、息子が京大の医学部を目指して、親の援助なしで京都で浪人生活を始めたと話しました。一同、絶対に無理だと言ったそうです。
その母親は息子と会うなり、「誰に話しても、京大は難しいと言っていた。一緒に帰ろう」。それを聞いた息子は「母親が息子を信頼しないで、他人の言葉を信用してどうする」と泣いて抗議していたとわが母が言っていました。翌年合格し、その後、九州の大学の名医となられました。
他方はこの前のニュースですから、ご覧になられた方もいらっしゃると思います。スイスの、大金持ちだけを顧客にする会社の東京支社の話。日本にはその分野でライバル会社はなく、相談の内容もいろいろ。ある日の顧客の相談内容です。「息子が知らない莫大な財産があります。どの時期に告げるべきですか?」。私どもからみれば莫大な相談料を渡して相談されていた内容に驚きました。親子関係もさまざまです。
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