トランプ政権の「キーパーソン」は誰なのか 主要ポストに就く人物で政策が決まる
オバマ政権のある高官は、オバマがトランプ氏に対し、地球温暖化対策の新たな枠組みであるパリ協定やイランとの核合意といった自分が残した成果の重要性を伝えることができるかもしれないと期待を示した。2人の間には同じ大統領という立場に立った者の間のみに存在する対等な関係が生まれる可能性があり、それがトランプ氏プライドにアピールするとともにオバマ氏の政策を継承する気にさせ、オバマ氏のことをあまりライバル視しなくなるのではと高官は期待しているのだ。
だが高官らも、そうした関係は過去にほとんど例がないことは認めている。あれほど苛烈な大統領選の後で、おまけに次期大統領が現職と異なる政党に属している場合はなおさらだ。それにトランプ氏とオバマ氏が親友になれるとはとても思えない点も、高官らは認めている。
子どもたちを政権移行チームに
トランプ陣営の事情に詳しい人々によれば、トランプ氏は主に信頼する側近や支持者たちから人材を起用するだろうという。11日、彼は成人した3人の子どもたち(イバンカ、ドナルド・ジュニア、エリック)と、娘婿のジャレッド・クシュナー氏を政権移行チームに起用した。この決定はワシントン政界では懸念をもって迎えられた。というのも子どもたちはトランプ氏の事業の経営にもあたっているからだ。トランプ政権の身内主義はすでに既定路線であり、トランプ一家が政権内で非常に大きな勢力となるだろうことは明らかだ。
そんなトランプ氏の仲間内でさえ、イデオロギーや背景、気質については人によって大きな違いがある。それは次期政権がいかに議会と渡りあうか、そして米国がいかに世界と渡りあうかに現れてくるはずだ。
最も大きな溝は、選挙期間中にトランプ陣営の最高責任者を務めたスティーブン・バノン氏と、ラインス・プリーバス共和党全国委員長の間にあると言っていいだろう。バノン氏は保守派の論客で、プリーバス氏は共和党主流派ながら、大統領候補としてのトランプ氏を受け入れた人物だ。関係者によればどちらも大統領首席補佐官の数少ない候補の1人とされ、どちらが選ばれるにせよもう片方も政権内の要職を占めることになるはずだ(編集部注:トランプ氏は13日、フリーバス氏を首席補佐官に指名)。