トランプ政権の「キーパーソン」は誰なのか 主要ポストに就く人物で政策が決まる
大どんでん返しの当選から2日経った11日朝、ドナルド・トランプ次期米大統領はツイッターで「ニューヨークで忙しい1日を過ごす予定」だと述べた。「まもなく、わが政権を運営する人々について非常に重要な決定を行うことになる」
トランプ氏と彼の政権移行チームによる人材選びだ。重要でないわけがない。
米大統領史上、閣僚選びが次期政権の性質や優先課題をこれほど左右する例は珍しい。過去のほとんどの例と異なり、トランプ氏は公職に就いた経験がないまま大統領に就任する。彼には首尾一貫した政策課題もなければ、山積みの政策提案もない。そして移民や人種、テロ、地政学といった問題において、扇動的な、そしてしばしば矛盾した発言をこれまでにいくつも残している。
オバマ大統領のアドバイスは受ける?
そうした混沌とした状況において、いろんな意味で白紙状態の大統領の下で首席補佐官や国務長官、国防長官や財務長官といった政権の要職を務める人々は非常に大きな影響力を振るうことになるだろう。その人選は、トランプ政権が選挙戦で見せたような扇動家スタイルで行くのか、舞台裏でしばしばその片鱗を見せていた実利主義者スタイルで行くのか、そのあり方を左右することになる。
「新任の大統領というのは、意志の強いアドバイザーたちのさまざまな影響を受けやすい」と語るのは、米大統領の歴史を研究しているロバート・ダレック氏だ。「今後6週間のトランプの(閣僚)指名は非常に重要だ。なぜなら彼が国をまとめようとしているのか、本当に自分の考えを実現しようとしているのかがそれで分かるからだ」
トランプ氏に対する影響の1つは、思わぬ方面から来るかも知れない。それはオバマ現大統領だ。
10日にホワイトハウスで行った会談で、トランプ氏は「今後も大統領とお付き合い願いたい」と述べるとともに、助言も受ける意向も示した。その翌日、トランプはウォールストリート・ジャーナル紙とCBSテレビ「60ミニッツ」の取材に答え、会談後にオバマの医療保険制度改革(オバマケア)の要素を一部残す決断をしたと述べた。これは選挙戦の発言ほど過激な統治手法は採らないかも知れないことを(少なくとも)ほのめかしたと言える。