「指示待ち人間」はなぜ生まれてしまうのか 優秀な人ほど、知らずにそうさせてしまう

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自分の頭で考えるスタッフになってもらうには、

・リーダーの考えを折に触れて伝える
・後はスタッフに自分で考えて行動してもらう
・意図と違う結果になっても「あいまいだもん、しょうがない」とし、改めてリーダーの考えを伝え、次回から軌道修正してもらう

を繰り返すことだと私は実感している。

最初から優秀な人間などいない

失敗を許容するゆとりがあれば、むしろ自分の頭で考えて失敗するリスクを取った勇気をたたえれば、人は指示待ち人間でなくなる。人は皆、最初から優秀なのではない、失敗を繰り返しながら能力を育てていくのだ、と考えたほうがよいのかもしれない。

『自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書』(文響社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

世界一足が速いウサイン・ボルトだって赤ん坊のころはハイハイから始め、歩き出しても転んでばかりだったはず。「自分の頭で考えて行動する」スタッフに育ってほしいなら、少なくとも最初のうちだけは、自分の頭で考えて行動したこと自体を称揚し、少々の失敗を許容するゆとりが必要なのだろう。

「あいまいな指示だったのに、よく自分で考えて補おうとしてくれましたね。ありがとう」。 それが言えれば、次からはリーダーの気持ちを忖度(そんたく)して行動しようとしてくれるはず。そうすれば、指示待ち人間ではなくなっていくのではないか。

「指示待ち人間」が生まれるのは、指示を出す側が、結果に対してどのような態度を示したかが決定打になるのかもしれない。失敗に対してゆとりある態度をもてる社会になれば、指示待ち人間は、もしかしたらびっくりするほど少なくなるのかもしれない。

篠原 信 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員

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しのはら まこと / Makoto Shinohara

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員。有機質肥料活用型養液栽培研究会会長。京都大学農学部卒。農学博士。高校を卒業後、2年がかりで京都大学に合格。大学生時代から10年間学習塾を主宰。約100人の生徒を育てた。本業では、水耕栽培(養液栽培)では不可能とされていた有機質肥料の使用を可能にする栽培技術を研究、開発。これに派生して、やはりそれまで不可能だった有機物由来の無機肥料製造技術や、土壌を人工的に創出する技術を開発。世界でも例を見ない技術であることから、「2012年農林水産研究成果10大トピックス」に選出された。
 

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