マッキンゼー友と語る、イタリアの今と未来 イタリアの未来はラグジュアリーブランドにあり

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マフィアはすっかり市民化?

ムーギー:ところでブルーノはシシリー出身ということだが、ゴッドファーザーでもあるビトー・コルレオーネさんや、アルカポネの出身地ではなかったか。確かタッタリアファミリーもシシリーだったと思うが、いまだにマフィアは強いのか。

ブルーノ:以前のような殺人・暴力行為はほぼなく、よりシビライズドされたマフィア組織になっている。1990年だかにマフィアが政治家の大物を殺したことがあって、大スキャンダルに発展した。イタリア人自身、いまだにこんなことが起こるのかと憤慨し、世間の視線が強くなった。

ムーギー:あの有名な、アルカポネもシシリア出身か?

ブルーノ:あれは映画の話で、アルカポネは実在しない。ムーギーは彼を実在の人物と思っていたのか? シシリーをマフィアで連想しないでほしい。シシリーはローマ帝国やギリシア、ビザンティン帝国など、さまざまな文化が豊かに融合した文化都市だと宣伝しておいてくれ(*グローバルエリート注:後に調べたところ、アルカポネは実在のナポリ出身のシカゴの大物マフィアで、ブルーノの認識違いだと思われます)。

ムーギー:それはわたしが責任をもって、日本で最も尊敬されている「東洋経済オンライン」というビジネスサイトでご紹介しておこう。それはさておき、イタリアは経済的苦境に立たされているわけだが、今後どうしたらいいか。あなたが首相になったら何をするか。

ブルーノ:イタリアは、これはさまざまな先進国の共通点だが、公共セクターの肥大化が国を滅ぼしている。働かないのに公務員の数が多すぎ、彼らの仕事を作るために意味のないポジションが大量に作られ、すべてに関して時間がかかりすぎる。戦後の第一共和国、1990年からの第二共和国、今、第三共和国が始まった直後なわけだが、いい加減、アングロサクソンのように効率的に競争原理を取り入れて、教育の非効率さも立て直したい。

ムーギー:そうか、なんかヨーロッパの友人に聞けば、どの国の人も同じようなことを言うな。フランス人も公共機関が肥大化して無駄な公務員が多く、プロセスを無駄に増やすことで雇用を保っていると文句を言っていた。フランスは悪しき社会主義国家の代表例だと。

しかしこんなマイナスな話で話を終わるのもなんか心苦しいので、最後に、「東洋経済オンライン」の皆さんにイタリアの魅力とか、今後、ブルーノ自身がイタリアでやりたいことについて、イタリアの今後の生きる道とか、明るい話をひとつよろしく頼む。

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