勝ち続ける人があえて「2位」を目指すワケ

有名プロゴルファーの「強くなる」思考法

プロはまず、シード権(翌年のツアー出場権)をとること。これがプライオリティのトップです。どんな仕事であれ、いちばん大事なことは、戦える「土俵」を持つことです。

考えようによっては、消極的な考え方と思われそうですが、それは違います。優勝というベスト(最高)だけを求めることは、現実的ではありません。それよりもシード権を主軸に置き、状況を見極め、その時々のベターを目指す。

そのベターを実現するために、目前の課題を一つひとつクリアする。そのプロセスを積み重ねながら着実に自分のスキルを向上させていくのです。それが結局は「優勝」という高い目標も手繰り寄せるのです。

「絵空事のベストよりも、実現できるベター」

それがプロとして、また「稼げる選手」への正しい道なのです。

西山ゆかり選手が未知の世界で学んだこと

2015年8月、札幌国際カントリークラブで開催された「meijiカップ」。その試合で、西山ゆかり選手はプロ転向7年目にして初優勝を飾りました。その約1年前にチームセリザワの一員になった選手です。

予選、決勝と3日間を戦い、8アンダーで優勝を勝ち取りました。簡単に優勝できたように思われそうですが、トロフィーを手にするまでの道のりは、やはり大変でした。

最終日、鈴木愛選手に17番ホールで追いつかれ、プレーオフに持ち込まれてしまったわけですが、しかし、そのプレーオフを前に、キャディーである私の「ミッション」は終わっていました。

「なぜ?」と思われるでしょう。そのミッションとは、これまでいつも最終日に自滅していた西山選手に、崩れることなく優勝争いをさせることでした。

仮にプレーオフで敗れても、2位は確保できる。賞金ランキングからシード権もとれたわけです。つまり「稼げるプロ」の階段を一段上がったわけです。

「最後は自分で頑張るしかないよ」

もし優勝したいのなら、あとは自分自身で解決するしかありません。ですから、プレーオフでは、ほとんどアドバイスはしませんでした。

結局、私が口にしたのはひと言だけ。プレーオフ2ホール目、先に5メートルのバーディーパットを決めた西山選手へのひと言でした。

「まだ勝ったと思うな。相手が終わるまで勝ったと思うな。次のホールにもう1回行くつもりでいろよ」

先にバーディーを決めて、緩みそうになった気を引き締めたのです。

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