トランプ熱烈支持者とは、いったい誰なのか

地方に住む白人・非知識者層が覚醒した

しかし、ここにきて、黒人やヒスパニック系の増加により、マイノリティとなりつつある「白人層」の不満が一気に爆発した。

非白人層との間に軋轢があれば、「人種差別だ」と責められるのは決まって白人であり、アファーマティブ・アクション(黒人や少数民族など差別されてきた人々に対し、雇用、教育面で優遇する施策)によって、マイノリティは大学入学や就職に有利な扱いがされるのに、白人にはそうしたメリットがない、といった「不公平感」が根強くあった。

8年間の「黒人」大統領の下で、「我々だけが割を食わされている」という意識が芽生え、さらには、移民によって職が奪われ、治安を脅かされているという誤解や妄信が加わって、沸点に達しつつあった憤りをいち早く感じ取り、すくい取ったのがトランプだったといえる。

トランプはそういった人々の、「政府は何もしてくれない」「時代に置き去りにされている」という「怒り」、そして、いつかテロリストに身の安全を、移民によって職を奪われるという「恐怖」に一気に火をつけた。人間は「ロジック」よりも「感情」を刺激するコミュニケーションに動かされる。感情には「喜び」や「驚き」「悲しみ」といったものがあるが、人を最も突き動かすのが「恐怖」、そして「怒り」だ。

特に、「恐怖」の感情には人は無条件で反応する。なぜなら、人が恐怖を感じる=自らの生存が脅かされている、ということだからだ。こうした恐怖訴求のコミュニケーションはまさに人間の根源的生存欲求にダイレクトに働きかけ、人々を駆り立てた。

トランプは「職は失われ、犯罪は横行し、まさに世紀末である」「このままであれば、アメリカは滅びる」、「これを救えるのは私しかいない」と、まるで新興宗教の教祖のように説き伏せた。人には「ネガティビティバイアス」という、ポジティブな情報より、ネガティブな情報の方により大きく反応する、という特徴がある。特に、目の前に示された事柄だけにとらわれ、俯瞰する能力に欠ける情弱者(情報弱者)であれば、誇張された地獄絵であっても、それを容易に信じ込んでしまう。

「メキシコとの間に壁を作る」というシンボル

その地獄に垂れる「一本のクモの糸」としてトランプが描いて見せたのが、「壁」であった。メキシコとの間に「壁」を作るんだ、それによって、移民を食い止めるのだ、という荒唐無稽なアイディアは、人々の頭の中に、鮮やかなシンボルとして植え付けられた。イギリスのEU離脱派が用いた「不法移民が大量にやってくる」というイメージを散々、見せつける戦術と同様の心理作戦だ。

トランプは、ソーシャルメディアやマスメディアを巧みに使い分け、自身のメッセージの最大級の拡散と露出を図った。99%のマスメディアはトランプに批判的であったが、トランプの言葉を信じ切った支持者にとって、メディアの講釈など雑音にしか聞こえない。トランプは、自らのコンテンツがある一定の国民には必ず、受け入れられると分かった上で、過激な言葉を発し続け、そのメッセージをメディアは愚直にせっせと伝え続けた。

マスメディアにとっては、トランプの記事はクリック数も稼げるし、それ以上に「真実」を伝えれば、きっと人々はそのまやかしに気づき、考え方を変えてくれるのでは、という「幻想」を抱いていたのかもしれない。

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