日本株は「トランプ大統領で上昇」でいいのか 2017年の金融市場は一段と複雑になる

✎ 1〜 ✎ 72 ✎ 73 ✎ 74 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これは、もっと簡略化すれば、1万6000円割れは数回に分けて買い、1万6000円~1万7000円は買いも売りも見送り、1万7000円超えは数回に分けて売るという形に置き換えることができるでしょう。日経平均株価に連動するETF等で、このような売買を機械的に繰り返すだけでいいというわけです。

それでは、トランプ大統領が誕生したからといって、この投資戦略を修正する必要があるのでしょうか。私はトランプの勝利後のスピーチを聞いているかぎり、今のボックス相場に変化はないだろうと考えています。要するに、今の投資戦略を修正する必要はまったくないだろうと見ているわけです。

来年5月の仏大統領選まで大きなリスクはない?

これまでトランプ氏は選挙戦において繰り返し国民の分断を煽ってきましたが、そんな彼が勝利後のスピーチで国民の団結を呼びかけていたのには、正直申し上げて非常に驚きました。今まで私たちが見てきた彼はある意味では虚像であり、本当のところは現実を直視し、国民の分断を決定づけるような極端な公約を修正できる人物であるのかもしれません。

そうであるならば、株式市場では来年5月のフランス大統領選までは大したリスクはないだろうと見ております。来年の日経平均株価を見る時に重視すべきは、上値1万7905円~下値1万4864円のボックストレンドの下値を突き破ってしまうのか、あるいは下値1万4864円で強い抵抗を見せるのか、冷静に見極めなければならないということです。来年のポイントは、株価がボックス圏の下値1万4864円をキープできるのか、この一点に尽きると考えることができます。

拙書でも述べていますように、来年の金融市場に関する予想は、私が昨年末に今年の予想をした時よりも、格段に難しくなっているように思われます。円相場にしても株式相場にしても、次のトレンドへの転換を以って事後的に判断するしかないからです。おまけに、政治的なイベントの日程を把握していたとしても、それらの結果が前もって読むのが難しいという問題もあるのです。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事