スプツニ子!的、「盛大な失敗」のススメ 新世代リーダー スプツニ子! アーティスト 

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必要なのは、つなげるスペシャリスト

《HEALING FUKUSHIMA》
(菜の花ヒール)(2012年)
靴デザイナーの串野真也氏とのコラボレーションによる、「歩くとヒールの先端から菜の花のタネが地中に植えられ、歩いたあとから菜の花が咲いていく」というヒール。土壌の栄養素カリウムと同時に放射性物質を吸収する働きがある菜の花に可能性を感じたスプツニ子!が、震災後の日本の再生と復興を願い、ポジティブに前へ進むためのシンボルとして、菜の花をモチーフに制作した。

日々のニュース、人との会話、雑誌の記事などがコンセプトのヒントになる。最も大切なのはコンセプトであり、最初から「次はどんな映像にしよう」「どんな音楽にしよう」という手段ありきでは考えない。そしてコンセプトが決まったら、それを実現するために、その手段のスペシャリストたちとコラボレーションして、ベストな方法でつくり上げる。

私は美大を出ていないから絵が描けないし、映像も素人、音楽もプロとはいえない。何か1つの分野のスペシャリストではない。でも、それぞれのどこが面白いのか、ジェネラルに知っていて、つなげることができる。つなげることに関してはスペシャリストだ。

デッサンが必要ならデッサン屋さんに頼めばいいわけで、アーティストは職人ではない。世界でグローバル化、ネットワーク化が進めば、世界中のスペシャリストとつながることが容易になるだろうし、それが重要になるだろう。つなげるスペシャリスト、ネットワーカーが今後ますます必要とされるのではないだろうか。

盛大な失敗を!

常識を覆したり、異分野のものを組み合わせると、人に「エッ!」と言われることになる。この「エッ!」は大切にすべきだ。どんな「エッ!」があるのか、どんな「エッ!」が面白いのかを考えることが、新しい扉を開く第一歩になる。いいアイディアというのは、ちょっと信じられないような、想像もつかないものであることが多いのだ。

そして同時に、そういう人や意見を受け入れる環境づくりも大切だ。失敗が許されない環境では、思い切ったアイディアは出てこない。

MITメディアラボを創設したニコラス・ネグロポンテ氏は、「失敗した人が最も価値のある人材だ」と言っていた。失敗からは多くのことが学べる。次に失敗しないノウハウも身に付く。失敗したことのない人に面白いことはできない。私もRCAの教授から「盛大な失敗を期待している」とずっと言われていた。

アイディアを思いっ切りぶつけたら、盛大な失敗か、盛大な成功のどちらかにしかならない。だから盛大な失敗でもいいと思って制作している。もちろん、失敗はたくさんしてきた。

調和を重んじるハーモニー文化の日本では、それを乱す人は排除される。会社では失敗を理由にいい人材をそぎ落とし、失敗しない人が出世する。チャレンジ精神のある優秀な人たちを重要な決断をする場から排除することは、日本にとって損失だと思う。失敗を歓迎する環境をぜひつくってほしい。

(撮影:梅谷秀司)

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