外苑火災事故、法的責任を問われるのは誰か 免責事項だけでは、主催者は逃げ切れない

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また、法的責任を問うには注意義務違反が必要となる。学生側に危険な結果の予見可能性があり、かつ危険な結果を回避できる可能性があったことが求められるが、これについて坂根弁護士は「学生が、白熱球使用による熱でジャングルジムの木屑が発火し、さらに燃え広がることをどれだけ具体的に予測できたかが争点になるだろう。一般通常人の経験則上、燃え上がると想定できたとは一概には言い切れないのではないか」と指摘する。

そして、学校側の責任については、「今回のデザインウィークの出展に、どれだけ大学の管理が及んでいたか、その指導や後押しなどの度合いによっては、学校が責任を負うこともありうる」(同)という。報道によると、白熱電球の投光機は当初、使用する予定がなかったものだが、大学が貸し出してジャングルジムの中に設置していた。

「素の家」を製作したのは同大学の学生有志で、大学は補助金を出すなど支援し、複数の教員が指導に当たったということだった。このことにより、一定の責任があると判断され、管理監督責任としての損害賠償責任(民法715条1項)を問える。製作者である日本工業大学側は7日、記者会見で謝罪している。その中で、成田健一学長は「大学の責任の下、出展した。対応が十分だったとはいえない。事故に関する全ての責任は大学にある」と踏み込んでいるが、そこまで言い切れるかは疑問だろう。

主催者の法的責任も見過ごせない

「東京デザインウィーク」の主催者は会見で、「消防法に照らして問題がないよう準備してきた。照明など電気を使う場合は電圧に制限も設けており、火災が想定されないかは開催前から十分確認していた」と説明している。今回事故が起きた「素の家」については、学生側が事前に提出した書類で構造は確認していたものの、照明と素材の位置関係など詳しい記載が書類になかったとしている一方で、「作品にとがった部分がないかや、作品の高さなどは確認しているが、全部で600点ある作品の一つ一つを詳しくチェックするのは困難だった」とも釈明している。

しかし、東京デザインウィークと出展した学生との間に「事故等の一切の責任は、主催者が一切負わない」との免責事項があったとしても、主催者の責任を問われる可能性は高いと、坂根弁護士は指摘する。「たとえ免責の一文があったとしても、裁判所は、無条件に免責を認めるわけではなく、主催者として果たすべき責任について個別具体的に判断するだろう」(同)。

今回の悲惨な事故は、学生たちの不注意で起きたことは確かで、法的責任の程度も大きいはずだ。とはいえ、社会経験が浅い学生たちに「子供の死亡」という重い責任を全面的に負わせるのは酷な部分も多い。学生たちをしっかりと監督、指導できなかった主催者の責任も見過ごすことはできないだろう。
 

重野 真 フリーライター

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しげの まこと / Shigeno Makoto

地方紙在籍中には支局/社会部に所属し、事件事故や学術文化などの報道に携わる。現在はフリーランスの記者として、雑誌・ウェブサイトで硬派記事を執筆するほか、ネットニュースの編集も手掛けている

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