しかし、「販売費及び一般管理費(売上原価以外の通常の営業にかかわる費用、広告費や会社を運営するための費用など)」を少し抑えたため、「営業利益」は238億円から266億円まで増加しました。前期の営業面での業績は、売上高ではほぼ横ばい、利益は若干の改善と言えますね。
今年3月の「全国百貨店売上高」は、前年比3.9%という大幅な伸びを見せていましたが、その影響は決算内容に現れていません。しかし、3月単月の合計売上高は、前年同月比9.4%増と大幅に伸びていますし、その後も4月単月では同比2.8%増、5月単月では同比7.0%増と、好調ペースが続いています。資産効果や景気回復が続けば、今期の業績は上向く可能性があります。
ただ、ここで注意したいのは、関連会社の店舗であるJR大阪三越伊勢丹の業績不振の影響が数字に現れているということです。同社は、三越伊勢丹ホールディングスの子会社ではなく関連会社ですので、「持ち分法」というものが適用され、その持ち分に応じた利益や損失が、営業外の収益、あるいは費用のところに計上されます。たとえば、同社は、三越伊勢丹ホールディングが40%の株式を保有していますが、純利益(あるいは純損失)の40%分が営業外の収益や損失に計上されます。
貸借対照表からわかる、百貨店独特の傾向
前々期は、「営業外収益」の「持ち分法による投資利益」として23億円ありましたが、前期は「営業外費用」の「持ち分法による投資損失」に58億円計上されています。関連会社であるJR大阪三越伊勢丹の損失が計上されているのです。この損失もあり、JR大阪三越伊勢丹は債務超過に陥っています。
JR大阪三越伊勢丹は、2年で黒字化させるという目標を掲げていますが、順調に回復してくかどうかはわかりません。他店との差別化を図り、三越伊勢丹の強みを出していくことができるのか。また、今年4月に「グランフロント大阪」が、JR大阪三越伊勢丹の店舗のすぐ近くにオープンしましたが、当初は三越伊勢丹には好影響とはなっていません。今後、どのように影響してくるのか。これらの点に注目したいところです。
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