給料の上がらない人は評価の本質を知らない 嘆く前に正しい努力の方向性を探ろう

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会社があればその数だけ評価制度は存在します。それは書面だろうが、社長の頭の中だけであろうが確実に。よく、中小企業や家族経営の会社では「給与は社長が鉛筆をなめなめして決めている」と言われがちです。それは、悪い言い方をすると社長が社員一人ひとりを独断と偏見で評価し、給与を決定しているということです。社長の頭の中にだけある評価制度を基に、社員一人ひとりを評価しているということです。

一見すると、「非常に理不尽」に感じるかもしれませんが、それは大きな間違いです。この会社はどんな会社で、どういう社員を求めているのか。また、どういう社員には退職してもらいたくないのか、ということを決める基準が経営者である社長の方針や好みによるところだからです。つまり、その頭の中を書面などに起こしてあげると人事評価規程が出来上がり、それによる給与は給与規程として形になるのです。

したがって、これらの規程を把握することなくして自分が思い描いた評価を受けることは容易ではありません。

ホームラン王でも

かつて、ヤクルトスワローズ(現 東京ヤクルトスワローズ)に在籍(1989年)していたラリー・パリッシュという選手がいました。ヤクルトに入団した当時、好きな食べ物を聞かれ“ワニ”と答え大きな話題を呼びました。野球のほうでも持ち前のパワーを生かし、入団初年度より42本塁打を放ち、見事ホームラン王のタイトルに輝きました。月間MVPに2回選ばれ、その年のオールスターにも出場し、ベストナインにも選出されたのです。ところが、その前途は必ずしも輝かしいものではありませんでした。

当時の監督であった関根潤三氏が退任し、ノムさんこと野村克也氏が監督に就任したとたん、あっさりと“解雇”されてしまったのです。前年のホームラン王でありベストナインの解雇に世間は驚かされたのでした。

これは、監督が野村氏に代わったことで、必要とする選手のスキルが変わったことが理由です。監督が「ホームランが多くて三振が多いのは嫌い」「そんなに打てなくても守りをしっかりとしてほしい」などの理由があったと考えられます。ちなみに、パリッシュは翌年、阪神タイガースに移籍し、阪神が期待していたとおりの活躍をしました。それは、阪神の求める「ホームラン量産」というスキルとパリッシュが持つスキルがマッチしたということです。ちなみに、パリッシュは残念ながらシーズン途中に惜しまれつつ退団、帰国をしました。

このような現象が起こるのはプロ野球の世界の中だけではありません。一般の会社でも似たようなことが起こっているのです。つまり、監督=社長が求めるスキルや人物像と、自身が磨いているスキルや目指している人物像がマッチしているかどうかが重要ということです。ここがミスマッチであった場合には、非常に苦しい会社生活を送ることになります。なぜなら、どんなに歯を食いしばって努力を積み重ねても、この会社では評価されないからです。

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