給料の上がらない人は評価の本質を知らない 嘆く前に正しい努力の方向性を探ろう

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「CADが得意なのでもっと勉強して仕事に生かしたいです」。こう話していたのは、かつてとある派遣会社に営業として勤務していたUさん(当時28歳)。大学では理系で学び、前職でも設計を学んでいたが、「ヒトにかかわる仕事をしたい」と考えて派遣会社に転職しました。

コミュニケーションをとることが苦手なUさんは、会社が期待した活躍が出来ない日々が続いていました。この会社は社員研修として外部講師を呼んだり、OJTにも力を入れていたので、多くの社員が入社から1年も経つと、最低限の数字は上げるようになっていました。ところが、Uさんは独特の考えの持ち主で、「長所を生かしたい」と決め込み、他の営業社員よりも断然得意としているCADの勉強に力を入れていたのです。

Uさんのスキルは向上したのですが、いかんせん、この会社ではそのスキルを発揮する場面に出会えませんでした。上司も「CADで作成しなくてもよいレベルのもの」でも、営業成績が相変わらず伸び悩むUさんの仕事を作るために無理やりCADを使わせるような状況になってしまいました。

評価されなきゃ昇給しない

UさんのCADのスキルはこの会社では突出していたかもしれません。いかんせん、派遣会社ではそのスキルを必要としていなかったのです。当たり前の話ですが、こうなるとUさんの価値そのものは上がりません。したがって、昇格も昇進もせず、給与も上がらないというわけです。その会社にとって「どのようなスキルを求めているのか」理想的な社員とは「どういう人物像なのか」ということを意識した努力をしなければ報われないのです。

自身の現状を再確認し、「今の自分に求められているモノ」「今の自分はどのような行動をとれば評価されるのか」「次のステージに上がるにはどのような能力が必要なのか」を把握し、それに適した努力をすることが重要です。

Uさんの件は、必ずしもUさんが悪いわけではありません。教育・指導をする者がもう少しちゃんと方向性を示してあげる必要があったと思います。

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