Facebook「裸の少女」写真削除騒動の舞台裏 検閲が招いた問題にどう対処するのか

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広報のチェン氏は「不具合」について説明するのを差し控えた。

同氏によれば、世間の反応に応え、苦情検討プロセスを再検討しているという。フェイスブックは現在、個人や団体のプロフィール全体に関わる企業活動、あるいはそのようなプロフィールのページ全てに対する訴えは受け付けているが、個々の投稿についてはこの限りではない。

分厚いルールブック

1日当たり100万件以上に及ぶコンテンツに関する大量の苦情に対処するため、フェイスブックは多層的なシステムを採用している。現旧幹部によると、苦情はアイルランドのダブリン、インドのハイデラバード、米テキサス州オースティンと同カリフォルニア州メンローパークにいるコンテンツ規約を扱うチームに自動的に送られ、そこで初期の決断が下される。

下位の社員や請負業者は、フェイスブックのユーザーが従うことを求められる比較的隙のある「コミュニティースタンダード」を解釈する分厚いルールブックを参照している。同社はルールに従い、できるだけ自由裁量を使わないよう、現場でコンテンツを監視する人をトレーニングしている。

削除がさらなる苦情を呼んだ場合、地域のマネジャーが中位の決定機関として機能する。それでも騒動が続くときは、米国にいる幹部トップに問題を上げるという。

上級幹部はまた、規約の更新にも関与している。例を挙げると、オソフスキー氏とカプラン氏は先週、コンテンツ削除に対する「反響の継続」を受け、フェイスブックが削除を決めるうえでニュースの価値を一段と重視すると投稿した。

これより以前、ベトナム人少女の写真をめぐる騒動を受けたオソフスキー氏は、同社の規約について、通常はうまく機能しているが、いつもそうであるわけではないとの見方を示していた。

ベトナム戦争時に撮影された少女の写真は、現場の監視担当者によってノルウェーのアカウントから削除された初めてのケースだった。

それに抗議するため、ノルウェー紙アフテンポステンは同写真を1面と、それを削除したフェイスブックに掲載。続いて同国のソルベルグ首相も自身のアカウントに掲載したが、それもフェイスブックによって削除される結果となった。

同社はその後、「あるケースで裸の子どもが写った写真を許可し、他のケースでは許可しないとの線引きは困難」だとする声明を発表した。

だがその翌日、幹部トップはそうした判断を覆し、サンドバーグCOOはソルベルグ首相にこう語った。

「明確な基準があっても、毎週ケースバイケースで数百万件の投稿を監視するのは、大変な仕事だがやりがいがある」

(Kristina Cooke記者、Dan Levine記者、Dustin Volz記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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