「ロールモデル」という考え方が嫌い 石黒不二代・ネットイヤーグループCEOの好き嫌い(下)

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楠木:今、経済産業省の審議会でご一緒していますが、世の中が石黒さんに期待する役割というものがありますね。ちゃんとお子さんもいらして、経営者で、ダイバーシティのアイコンにもされそうです。そのあたりへの思いはいかがですか。うざいと思われているのか、それはそうだと思われているのか。

石黒:うざいとは思いませんけれど、企業の女性登用はもっと自然なものがいいと思うし、女性のほうはもっと肩の力を抜いて、普通に頑張ればいいと思います。確かに女性が押さえ付けられている面もあるし、ある種の差別も残っているから、肩肘を張るのはしょうがないのかもしれない。でも、もっと自然にできないのかなと思いますね。ダイバーシティと言うと必ず出てくる言葉ですけれど、私、ロールモデルという考え方も嫌いなのですよ。

楠木:なるほど、そうですか。

石黒:私にはロールモデルはないし、ない分、自分の好きにできるじゃないですか。ロールモデルというのは、「この会社の中でこうやったら課長に、こうやったら部長に、こうやったら社長になれる」というような考え方だと思うのですが、同じことをやって全員なれるわけがない。

特に私たちのITの世界は、本当に変化が速いので、昔の人と同じことをして成功できると思わないほうがいい。偉大な人の伝記には正しいことも見習わなくちゃいけないこともあるけれど、それを読んで「よし! これをやろう」っていうのは違うと思いますね。

楠木:なるほど、だから伝記とビジネス書のハウツーがお嫌い、と。

石黒:そうなんです。誰も何にもやってないところを、ガァーと行って、メチャメチャ失敗しまくって、「なんだ、これ!?」みたいな試行錯誤をして、初めて新しい道が開けていくのがすばらしいですね。

楠木:でも、世の中、皮肉なもので、そういう石黒さんをロールモデルだと言っている若い女性は多いようですよ。

石黒:私をロールモデルにしたら、もう超ウダウダしちゃいますよ。生意気に聞こえるかもしれないけど、ヘタに影響されて同じことをしちゃったら、どうしようみたいな(笑)。

楠木:なるほどね。おしゃれもしなくなるし、スエットを着て、ゲームをやりながらポテトチップスを食べているみたいな。

石黒:また勝手なイメージですね。スエットではなく、普通の服を着ていますし、ポテトチップスも食べていませんから。

楠木:たいへん失礼いたしました。石黒さんの新しいイメージを作りすぎてしまいました(笑)。

(構成:青木由美子、撮影:梅谷秀司)

楠木 建 一橋ビジネススクール特任教授

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くすのき けん / Ken Kusunoki

1964年東京都生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より一橋ビジネススクール教授。2023年から現職。専攻は競争戦略とイノベーション。著書に『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『絶対悲観主義』(講談社+α新書)のほか、近著に『経営読書記録(表・裏)』(日本経済新聞出版)などがある。

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