米国銀行の貸出機能に正常化の動き 景気・経済観測(米国)
もちろん、全てのローンで同じように回復が進んでいるわけではない。厳しさの残るセクターの代表例が、住宅ローンである。銀行の貸出基準を見ても、上述した企業や消費関連ローンとは異なり、貸出基準の緩和度合いは限定的なものにとどまっている。こちらについては、住宅バブル崩壊のトラウマがまだ色濃く残っていると言えそうだ。
住宅価格上昇が信用改善を後押し
ただ、こうした住宅ローンを巡る環境も、先行き徐々に改善が進んでいく可能性が高い。住宅市場の回復に伴い、住宅価格の上昇が続くとみられるためだ。
そもそも、住宅ローン貸出基準の緩和が遅れた要因は、バブル崩壊によって住宅価格の低迷が続いたことにある。その住宅価格は、現在年率10%を超える勢いで上昇中だ。今後、住宅価格の上昇によって、住宅の担保価値が増加すれば、家計の借入余力が高まり、銀行の貸出基準も緩和していくと予想される。
また、住宅価格の上昇によるプラスの影響は、家計の信用環境だけにとどまらない。企業の中でも、中小企業は住宅を担保として銀行から融資を受けるケースが多い。住宅担保価値の上昇は、中小企業にとっては借入余力の拡大に、銀行にとっては貸出基準の緩和につながる可能性がある。中小企業向けの貸出基準が一段と和らげば、設備投資の拡大などを通じて景気回復を後押しする要因となろう。
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