同じ慶應卒でも「外部生」は永久に格下扱いだ 東京カレンダー「慶應内格差」<1>

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家に着くと、早速原田くんからLINEが。

ー沙羅ちゃん、今日はありがとう! 久々に会えて本当に楽しかった。今度は『レストランエール』に行こう。ー

ー今日はありがとう! また今度ね!ー

スタンプを1つ付けて沙羅はそう送った。

栞「仕方ないよ、だって彼って外部生でしょ?」

原田は家に着くと、3年目のボーナスで購入したお気に入りのロレックスの時計を外し、沙羅との食事を思い返していた。

卒業以来久しぶりに会った彼女は、相変わらずの才色兼備。切れ味ある知性を感じる会話とは対照的に、美味しそうにマルゲリータを食べる彼女の親しみやすさに心惹かれた。

彼女と会う前は正直不安だった。お店のチョイスも任せてくれたが、食通の彼女の期待に応えられるのか、バリバリと働く彼女は違う世界へと行ってしまったのではないかと。

だが、原田は今確かな感触を得ていた。自分の選んだ店で美味しそうに食べる彼女、そして次のデートの約束までこぎつけた。沙羅がもし恋人になれば社内でも鼻高々の自慢の彼女になるだろう。妄想は膨らみ、原田はワクワクしていた。

沙羅は3Sのグループラインを開き、原田くんとの再会を報告。

ー原田くんはやっぱり原田くんだったよー

すると、栞から返事が。

ー仕方ないよ、だって彼外部生でしょ?ー

外銀ほど稼ぎはないけど、安定した生活が保証された彼。お金もほとんど使わず貯金。待ち合わせには早く来てくれる几帳面な人だし、女の子を大切にする人。まさに結婚相手にはうってつけ。

気づけばいつも好きになるのは六本木で華やかな日々を送っている内部生の仲間ばかり。原田くんとの再会は、沙羅なりにそういう生活から抜け出し、外の世界を見ようとした第一歩だった。

しかし、レストラン選びや何気ない会話、大切にされていると分かっていてもワクワクできず。沙羅にとって、皮肉にも外部生・原田くんの存在は、自分とは違う、合わないんだという想いをただただ強めただけであった。

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