同じ慶應卒でも「外部生」は永久に格下扱いだ 東京カレンダー「慶應内格差」<1>

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いわゆる「慶應内部生」の3人。昔から3人で行動し、10年来の親友。知性・家柄・ルックス、3人はそれぞれにないものを持ち、27歳という花盛りを謳歌。社会人になってからは活動拠点を六本木に移し、3S(トリプルエス:サキコ、シオリ、サラの頭文字を取ったもの)という名で、巷では少し有名な3人組となっていた。

軽井沢のレストランにも精通してきた3人が今回選んだのは『ピレネー』。釜で焼くステーキが売りのお店でランチには地元の新鮮な野菜をふんだんに使った前菜ビュッフェが付いてくる。写真栄えする色とりどりの前菜を前に沙羅はいつものようにインスタグラムに写真を投稿。

すると反応があったのは、意外にも大学3年生の時に沙羅が好意を持っていたあの彼からだった。

ー俺も来週軽井沢行くんだよね。いろいろ教えて!ー

長身でスタイルはいいけど、お人好しで顔は決してカッコ良くない。埼玉の県立高校から慶應の経済学部に入学。『外部生』原田くんの、その控えめな真面目さに沙羅は惹かれていた。

沙羅はこれまでホテル会社の御曹司や体育会ホッケー部キャプテンなど、学内でも有名な内部の男の子ばかりと遊んでいた。ただ、原田くんはそんな彼らとは違う、良くも悪くも普通の男の子だった。

就活中、沙羅と原田くんは同じ外銀でインターンをしていたことをきっかけに仲良くなった。2人で一緒に働けたらいいな、なんて想像も膨らませていた。

世間から見たらエリート街道

しかし、いざ面接が始まると、彼は結局1つも外銀からの内定を獲得できず、メガバンクへ。世間から見たらエリート街道。しかし、外銀に無事就職した沙羅からするとなんとなく気まずい相手に。気付いたら自然と会うこともなくなっていった。

ー原田くん元気かな。ー

少し会ってみたい気分になり、返信はコメントではなくLINEでしてみた。

ー久しぶり!ピレネーっていうお店おすすめだよー!原田くんもきっと気に入ると思う☺️ー

このLINEをきっかけに、やり取りが続き、久しぶりにご飯でもしようかと5年ぶりに会うことになった。

彼が選んだお店は白金高輪の『タランテッラ ダ ルイジ』。たまに上司も連れて行く、お気に入りのイタリアンとのこと。沙羅は行ったことのない店に心躍った。

当日、待ち合わせの5分前に連絡すると、すぐに駅に迎えに来てくれた。

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